田中貴大(たなか たかひろ)
琉球大学工学部3年次。鳥取県出身。高専から大学に編入学し、1年半休学。オーストラリアでワーキングホリデーをしたあと世界一周にでかける。マサイ族とダンスをしたりチリの砂漠を自転車で走ったりした。現在は、タビイクに引率として参加や、沖縄で世界一周中に撮った写真で写真展を開催するなどしている。
どんなコンプレックスだった?
僕、小学生の頃から肌の色が黒かったんですよ。そして顔にはニキビが多かった。それでよく「ケニア人!」「マサイ族!」とかってからかわれていて。言ってる側からしたら軽い気持ちだけど、当時としてはけっこう傷つくようなことを言われ続けて、すごく気にしてたんですよね。だからそれ以上傷つかないために殻に閉じこもるようになって、とにかく人の目を気にするようになりました。
そんなだから2人で誰かとご飯に行ったときなんか毎回シーンとなってましたね。女の子相手だととくに。人からの評価ばっかり気にして脳内シミュレーションはいっぱいするけど何もしゃべれない、みたいな感じでしたから。内心では、周りのおもしろいことを言える人とか、自信たっぷりに振る舞う人を見ながら、劣等感を感じてました。
どうやって乗り越えた?
ガーンと劇的に自分が変わったなと感じたのは、初めて海外に踏み出したときですね。今までは学校と寮と家という狭い世界のことしか知らなかったんですが、いざ飛び出してみると自分より肌の黒い人いるし、そもそも外見のことを気にする余裕も必要もない人たちがたくさんいたんですよ。それを知ったとき、自分の悩みなんてちっぽけでしょうもないな!って思いましたね。別に気にしなくていいじゃん!って。
しかも、海外に行くと、出会うことすべてが初めて経験することじゃないですか。例えば日本では普通に切符を買えても、インドだと周りの人に聞きまくって手伝ってもらって…ってしないと買うのが難しいんですよね。そうやってたくさんの“初めて”に戸惑いながら乗り越えて行くと、それがだんだん自信になってきたんです。
そうやって小さな“できる”を積み重ねてたら、いつの間にか自分の外見も気にならなくなったし、人と2人きりで話すのにも焦らなくなったし、自分に余裕をもてるようになりました。ちなみに今は「マサイ族!」って言われるのがとてもオイシイなと思ってます(笑)。
人の目を気にしてた頃の自分は好きですか?
あの頃の自分にとって、人の目を気にするというのはネガティブなものでした。自分が傷つかないようにするための行動、みたいな。でも今は、相手が何をしたら喜ぶかとか、何を求めてるかを知るためのポジティブな行動になってます。それはあのとき苦い経験をしたからこそだなと。自分の嫌な部分をからかわれたり、誰かと気まずい空間を過ごしたりしたからこそ、人を思いやるとか、人に優しくできるような自分になれたので、あの頃の自分には感謝してます。
同じコンプレックスをもつ方へメッセージをお願いします。
自分がいま見てる世界、生活してるフィールドのなかだけで自分と人を比べると、どうしても劣等感は出てきます。だからもっと広いフィールドで物事を考えたり、違う世界に踏み出してみることをおすすめしますよ。例えば本を読んでみるとか、近場の外国に行ってみるとか。ぼくも運営で関わってるBack pack FESTAに参加してもいいかもしれません(笑)。そういう知らない世界を知っていくことを積み重ねると「あれ、なんであんなこと気にしてたんだろ?」と思えるようになります。これから何をするか、選ぶのは自分次第。自分を変えたいと思うなら行動あるのみです。だからまずは、勇気をもって一歩踏み出してみてはいかがでしょう?
ちなみにぼくが初めて海外に行ったときは、タビイクという旅人育成企画を利用しました。そのおかげで日本全国に友達ができたし、外に飛び出すことへのハードルが下がりましたよ。これはあくまで1つの手段にしかすぎませんが、1歩を踏み出すにはとても良い企画だなと思ってます。2月にはぼくも引率として、初海外で行った思い出の地マレーシアに行くので、一緒に旅しましょう!
本記事は、2018年12月20日の『コンプレックス大百科』note掲載記事
より転載しました。