栫 祐太朗(かこい ゆうたろう)
琉球大学4年次。幼い頃から高校まで野球に打ち込み、大学では今までの自分とは違うことをやろうと決め、ミュージカルを始める。仲良くなると定期的にボケて笑わせてくる生粋のエンターテイナー。ゲーム実況を眺めるのが好き。
どんなコンプレックスだった?
僕、足に大きめのホクロがあって、小学生の頃からこれがずっと嫌でした。小学校ってだいたい短パンじゃないですか。例に漏れず僕の学校も短パンで、小学校低学年の頃から「他の人にこんなでかいホクロはないな」と、自分と他人との違いに敏感になってました。ケンカをしたときは、よくホクロをネタにして馬鹿にされたので余計気になりました。つけたくてつけたホクロじゃないのに…という理不尽に対する悔しさもあり、ホクロを取ることも考えましたが親からもらった体に傷をつけたくなかったのでやめました。ですが、実家で飼ってた犬を抱き上げて、「犬が今から右を向いたら死のう」というのをやったくらい追い詰められてはいました。
どうやって乗り越えた?
どうやって、と言われると「諦めた」というのが一番近いです。きっかけはいろいろありましたが、大きいのは心屋仁之助さんという人の言葉でした。高校のとき彼の「まず自分を愛してあげてください」という言葉を聞いて、『自分を受け入れる』っていう考え方があるんだなという衝撃とともに、その考え方いいなと思って、大学に入ってから初めて自分で短パンを履くようにしました。当初は『ホクロをいじったやつは殺してやる』くらいの気持ちで短パンを履いてましたが、ホクロを出すことに慣れてきて『ホクロのせいで自分はダメなやつだと思い込んでたけど、ただあるだけじゃんね』と思えるようになって、乗り越えたんだと思います。
今、自分のホクロは好きですか?
好きでも嫌いでもないですが、すごく役に立ってます。今までホクロをいじられること自体嫌だったんですが、短パンを履くようになってからはホクロが人を判断する一種のツールになっているというか。初対面でホクロをいじる人は、ぼくの中身を見てくれない人なんだろうなと判断できるので、無駄に感情を消耗することが少なくなりました。逆に仲良くなりたいと思った人に対しては、深い部分からぼくを理解してほしいのでホクロの話をしています。そのおかげで大事な友達になれることも多いです。だからこのホクロは、大事にすべき人を教えてくれる便利なやつですね(笑)。
ホクロで悩んでる人に向けて、メッセージをお願いします。
「まぁいいんじゃん」です。小学生の頃からずっと、ぼくは自分をダメなやつだと思ってました。自分が何をしていても、後ろでもう一人の自分がいつも言うんです。「ホクロがあるからお前はダメだ」って。でも冷静に考えたらダメじゃないし、ホクロがあることは変えられないので「まぁいいんじゃん」と諦めてしまう方が楽だなと思ったんですよね。ぼくはホクロがあるせいで嫌な思いをし続けてきて、ホクロのおかげで、人に優しくなれたと思っています。「自分だったら、これを言われると嫌だな」と、相手の立場に立って物事を考えられるようになったから。ホクロがある事実は、無理には変えられないことです。なので、自分が成長するにつれて、その時々の感情に従いながら有効活用していければいいのかなと思いますね。
本記事は、2018年12月02日の『コンプレックス大百科』note掲載記事
より転載しました。