アメリカ財務省は8月5日、中国を経済制裁の対象となる「為替操作国」に認定したと発表した。
ところで為替操作国ってなに?
94年以来初の認定
為替操作国とは、アメリカが「貿易で優位に立つために為替介入などで自国通貨安に誘導している」と認定した国を指す。認定はアメリカが一方的に行い、是正措置を講じなければ高関税などの制裁が科される。
為替操作国はアメリカの財務省が毎年4月と10月に作成する「為替報告書」にもとづいて認定される。狙いは、為替介入などで為替相場を意図的に操作して自国通貨安に導き、対米貿易で優位に立とうとする国を牽制すること。
次の3つの条件を満たすと為替操作国と認定され、2つの条件を満たすと「監視対象」とされる。
・貿易収支 ⇨ 対米貿易黒字額が年間200億ドル以上
・経常収支 ⇨ 経常黒字額が国内総生産(GDP)比で2%以上
・為替介入 ⇨ 為替介入による外貨購入が1年で6カ月以上かつGDPの2%以上
2019年5月に公表された為替報告書では、為替介入の項目を除く2つの条件に該当した日本も「監視対象」とされている。中国は1つの条件にしか抵触していないが、対米貿易黒字が巨額なため監視対象国とされていた。
米議会は貿易に有利になるように通貨を切り下げている国への対抗措置を政府に義務づけている。為替操作国と認定されると、関税引き上げなどの制裁が行われることもある。
94年7月のクリントン政権時代に中国が認定されて以降、為替操作国と認定された国はなかった。
トランプ大統領「もう許さないぞ」
8月5日の上海外国為替市場で、約11年ぶりに人民元の対ドル相場が1ドル=7元台に下落したことを受けて、トランプ大統領は激怒。
「中国は人民元レートを、ほとんど過去最低水準まで引き下げた。これは『為替操作』だ。連邦準備銀行、聞こえてるいるか? これは、中国をいずれ大きく弱体化させる重大な違反行為だぞ!」
「中国の常套手段である通貨操作により、アメリカ人が関税を受け取っていないことは誰にとっても明らかだ。中国はいつも為替操作をして、アメリカからビジネスや工場を盗み、仕事を傷つけ、労働者の賃金を押し下げ、農産物の価格を傷つけている。もう許さないぞ!」
公式Twitterにメッセージを連投していた。