日本航空(JAL)は7月23日、客室乗務員や整備士、地上での接客を担当する職員らが2020年4月から着用する新たな制服デザインを公開した。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、新制服で国内外からの観光客を迎える。
同社が職員の制服デザインを刷新するのは、2013年以来、約7年ぶり。
新制服は、実際に制服を着用しているJALグループの職員で構成されるプロジェクトチームを中心に、利用客らに行ったアンケートで寄せられた意見を踏まえ、総合的に判断し選定したという。
女性CAの制服 初めて“パンツスタイル”を採用
この度の制服のリニューアルで注目すべき点は、日本航空として初めて、女性の客室乗務員の制服で「パンツ」を着用するスタイルを採用したことだ。
ワンピースと並んだ際に同じ印象となるようバランスを重視しデザインされている。
同社によると、新たに採用されたパンツスタイルは、実際に勤務する女性の客室乗務員から「寒さなど健康面に影響を与える」など、一部で上がった声を反映したほか、“多様な働き方”を実現するため、採用に至ったという。
パンツスタイルの導入の意図などについて、広報担当者に聞いたところ、「多様性を認める社会が広がりつつある中での、選択肢を広げる意図としての1つの形です」とした。
女性の客室乗務員のパンツスタイルは今回初めて採用されたが、一方で地上職の女性の制服については、すでにパンツスタイルを導入していたという。
加えて今回の刷新では、運航乗務員(パイロット)の制服に、初めて女性向けのデザインも採用された。
#KuToo広がる中、靴の規定は…?
多様性を重視した制服の刷新は時代を反映していると言えそうだが、一方で“足元”についてはどうなのだろうか?
最近では「職場でのパンプスやヒール着用を強制しないでほしい」という願いを込めた署名活動「#KuToo」に多くの賛同が集まり、支援の輪が広がっている。
日本航空の広報担当者によると、靴を含めた服装や髪型などの身だしなみについては、着用規定を記載した冊子があり、職員らはそれに準ずる形で業務にあたっている。
規定では、女性の客室乗務員が着用するのは基本的に黒のパンプスで、ヒールの高さは3cm〜4cm、幅4cm程度と定めている。
太めで、かつ接地面がなるべく広いヒールの着用を推奨することで、歩きやすさ・動きやすさにも配慮するようにしているという。
「#KuToo」のような署名活動が盛り上がりを見せていることは認識しているといい、「おもてなしの一環として統一的な美を意識する点から一定の規定を設けており、もちろん怪我などをした際に強要するようなものではありません」としている。
航空業界では、JAL傘下のLCC『ZIPAIR Tokyo(ジップエア・トーキョー)』は4月、新しい制服を発表。職員が履く靴にスニーカーを採用し、話題になった。
「業務における動きやすさと疲労感の軽減」を意識したという。
「おしゃれは足元から」という言葉があるが、“働きやすさも足元から”という時代。
航空業界も、例外ではなさそうだ。