7月21日に投開票された参議院選挙で、れいわ新選組から比例代表で立候補していた舩後靖彦(ふなご・やすひこ)さんが当選確実とNHKや朝日新聞が報じた。
舩後さんは、今回の選挙から新たに導入された「特定枠」で出馬。
どんな制度なのか。以下に解説する。
特定枠は、比例代表で、政党が当選者の優先順位をあらかじめ決めることができる制度。特手枠の候補は、個人の得票に関係なく、名簿の順に当選が決まる。
この特定枠を使うかどうかや、使う場合に何人にするかは、各政党が決めることができる。
NHKによると、これまでの比例代表は、各党が獲得した議席の枠内で、名簿にある各候補者が得た個人票が多い人から当選する仕組みだった。この仕組みは「非拘束名簿式」と呼ばれている。
有権者は、比例制度で政党名か個人名のどちらを書いてもよい。政党名と候補者名それぞれの合計が各党の総得票数となり、その総得票数に応じて、ドント式で各党に議席が配分される仕組みだ。
選挙活動のできない「特定枠」 なぜ生まれた?
特定枠の候補者は、他の候補者とは違って大きな制限がある。個人としての選挙活動は認められていないのだ。選挙事務所や選挙カーを持てない上、ポスターの掲示も禁止されている。
特定枠の候補者名が書かれた票は、政党の得票として有効となる。
特定枠は、候補者の得票数に関わらず、当選させたい候補者の優先順位を政党側が決めることができる。
ある意味で、民意を無視しかねないこの制度は、なぜ導入されたのか。
産経新聞によると、背景にあるのは「合区」制度。「鳥取県と島根県」「徳島県と高知県」が合区となり、どちらかの県からしか候補を擁立できなくなった。「特定枠」を設けることで、もう片方の県からも確実に議員を出すという、自民党の狙いがあるという。
今回の選挙で、特定枠を利用したのは自民党、「れいわ新選組」、労働党。自民とれいわは2人、労働は1人を擁立した。
自民党は、合区となり、候補者を出せなかった徳島県と島根県から立候補者、三木亨さん、三浦靖さんを充て、当選確実と報じられた。
れいわ新選組は、当選確実となったALS患者の舩後靖彦さんと、脳性まひで障害の木村英子さん。障害を持つ人を国会に送ろうとする党の姿勢が伺える。
労働は、元介護ヘルパーの伊藤恵子さんを擁立した。