アニメ制作会社・京都アニメーション(京都市)で7月18日、33人が亡くなった放火事件。
同日、火災の報道を受けアメリカ・テキサス州ヒューストンのアニメ配給会社センタイ・フィルムワークスが京都アニメーション支援のためのクラウドファンディングを立ち上げた。
センタイ・フィルムワークスは京都アニメーション制作の「CLANNAD」や「けいおん!」など人気アニメの配信を行っていた。
なぜ京都アニメーションを支援しようと考えたのか。7月18日、同社の担当者がハフポスト日本版の取材にメールで答えた。
担当者はクラウドファンディングは偽物ではなく、京都アニメーションにも関係するセンタイ・フィルムワークスが行っている正式なものであると語った。また、集まった資金は100%京都アニメーションへ送ると説明した。
京アニは「アニメの達人であって日本の宝」
センタイ・フィルムワークスの代表ジョン・レッドフォード氏は18日、クラウドファンディングサイト「gofundme」上に、「私たちの可能な限り、手助けしたいと思っています」とつづった。
レッドフォード氏は、大手エンタテインメント会社A.D. Vision(ADヴィジョン)を立ち上げ、「新世紀エヴァンゲリオン」や「セーラームーン」シリーズなどをアメリカに配給した人物だ。
サイトでは京都アニメーションについて「数々の作品を通して私たちに夢、影響、そして楽しみを与えてくれたのが、私たちにとっての京アニです。彼らはアニメの達人であって、日本という国の宝の一つです」と紹介。
京都アニメーションの従業員が亡くなり、多くの人の人生が変わってしまうような甚大な被害を受けている状況についても説明した。
そしてクラウドファンディングについて「この痛ましい悲劇の被害者にとって最も直接的で、効果のある支援のためにみなさんから募金を募っています」と呼び掛けた。
ハリケーン災害、クラウドファンディングで助けられた過去
センタイ・フィルムワークスの担当者は、ハフポスト日本版の取材に「私たちは、京アニの作品をアメリカのほかいくつかの国で配給しています。そのため、私たちと京アニはお付き合いがあります」と答えた。
また、集まった資金は、京アニで必要としている人たちに渡るよう、現在日本のアニメ業界の担当者らと調整しているといい「クラウドファンディングで集まった資金は100%京アニへお渡しします」と語った。
火災報道を目にしてすぐに支援を思いついたきっかけは、センタイ・フィルムワークスのスタッフが過去にハリケーンで被害を受け、クラウドファンディングで助けられた経緯があったからだ。
2017年8月、テキサス州を襲った大型のハリケーン・ハービー。107人が亡くなり、被害総額は1250億ドル(約13兆4500万円)と、アメリカでも最大級の爪痕を残した。
その際、テキサス州にあったセンタイ・フィルムワークスのスタッフたちも甚大な被害を受けた。多くのスタッフが車を失い、家を失い、仕事ができない状態に陥っていた。
だが、センタイ・フィルムワークスは「gofundme」のクラウドファンディングで集まった資金で事業とスタッフの生活を立て直し、復帰したという。
その当時を振り返り「(同じように)他の困っている方を助けられる、前向きな強い影響を与えられるのではないかと、思い至りました」と語った。
京アニを支援するクラウドファンディングは、7月19日午後6時30分現在で、目標額を超え133万5000ドル(約1億4300万円)が集まっている。