SMAPの元メンバーをテレビ番組に出演させないよう、ジャニーズ事務所が民放テレビ局に圧力をかけていた疑いがあるとして公正取引委員会が同事務所を注意した問題。当事者でもある民放各局の報道が鈍い中で、NHKの報道が際立っている。
NHKは7月17日の夜のニュース番組内で「元SMAP3人のTV出演に圧力の疑い ジャニーズ事務所を注意 公正取引委」と速報テロップを流し、直後の「ニュースウオッチ9」では番組トップで詳細を報道した。
ジャニーズ事務所はすぐに「公正取引委員会からも独占禁止法違反行為があったとして行政処分や警告を受けたものでもありません」と圧力行為を否定するコメントを公式サイトで表明したが、NHKは18日も続報の手を緩めない。
民放各社のニュース番組が京都アニメーションの放火事件もありジャニーズ事務所の圧力疑惑を取り上げない中、「ニュースウオッチ9」では民放テレビ局関係者の証言として「SMAP元メンバー3人が関わっている場合には所属タレントは出演させられない」というジャニーズ事務所の圧力発言を独自に報じた。
NHKは、ジャニーズ事務所に所属タレントの出演を依頼した際に事務所幹部から告げられたとするこの証言が、公取委の調査のきっかけになったと報じている。
番組では2019年3月に元メンバーの香取慎吾さんを取材した映像も振り返った。
「この(独立後)2年、ある意味、理不尽さとか悔やむようなこととか、そんなネガティブな感情も湧いてきたこともあると思うが、どう向き合ってきたのか」という有馬嘉男キャスターの質問に対して、「ネガティブなことに対しても、なんかそういうのって、生きてると色々あるし。小さいことから大きなことまで絶対にあるから、その一つ一つにひるんでいたら生きていけないんですよ」とゆっくりと言葉を選ぶ香取さんの映像を流した。
さらに、「タレントと事務所側が公平な立場で自由な競争を阻害しないような業界づくりをしてほしい。テレビ局・テレビ業界にも過剰な忖度をしない環境づくりをしていただきたい」と指摘する専門家のコメントを紹介。
有馬キャスターが「今の言葉を重く受け止めなければなりませんよね」と引き取り、「どんな世界にも忖度はあるんだと思います。でもそれを仕向けるようなことはあってはならないなと改めて感じました」と踏み込んだ。
桑子真帆アナウンサーも「以前香取さんを番組で取材させていただいた時、アイドルという仕事もアーティストとしての仕事も心から愛して、誇りを持って取り組む姿がとても印象的でした」と振り返り、「そんな活動をみんなで後押ししていける環境にしないといけないと思います」と述べた。
この問題のもう一方の当事者でもある民放テレビ局各社はどう応えるのだろうか。