日本文学振興会は7月17日夜、第161回芥川賞・直木賞の受賞作を発表した。
芥川賞には今村夏子さん「むらさきのスカートの女」が選ばれた。
選考委員を代表して講評をした作家の小川洋子さんは、受賞の可能性を議論されたのは女性作家のみだったことを明かし、「(最終的に)女性性を感じさせる作品が残った」とした。
前回の第160回芥川賞から連続ノミネートされた社会学者の古市憲寿さんは、残念ながら受賞を逃し、発表直後のタイミングで「ちーーーん」「まただめだった!!!」とツイートした。
直木賞には大島真寿美さんの「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」が選ばれた。
今回、候補者全員が女性だったことについて、選考委員を代表して作家の桐野夏生さんは「全員女性ではありますが、一言で括れないほど多様性に満ちている。面白い選考だった」と話した。
芥川・直木の両賞で女性が受賞するのは、平成25年第150回の芥川賞を朝井まかてさん、姫野カオルコさん、直木賞を小山田浩子さんが受賞して以来の約6年ぶりとなる。
芥川賞、直木賞の両賞は1935年(昭和10年)に創設。芥川賞は純文学の新鋭に、直木賞はエンタテインメント小説の中堅に贈られる。
日本文学振興会の公式サイトによると、各賞の候補作は以下の通り。
芥川龍之介賞候補作品
今村夏子(いまむら・なつこ)「むらさきのスカートの女」(小説トリッパー春号)
高山羽根子(たかやま・はねこ)「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」(すばる5月号)
古市憲寿(ふるいち・のりとし)「百の夜は跳ねて」(新潮6月号)
古川真人(ふるかわ・まこと)「ラッコの家」(文學界1月号)
李琴峰(り・ことみ)「五つ数えれば三日月が」(文學界6月号)
直木三十五賞候補作品
朝倉かすみ(あさくら・かすみ)「平場の月」(光文社)
大島真寿美(おおしま・ますみ)「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」(文藝春秋)
窪美澄(くぼ・みすみ)「トリニティ」(新潮社)
澤田瞳子(さわだ・とうこ)「落花」(中央公論新社)
原田マハ(はらだ・まは)「美しき愚かものたちのタブロー」(文藝春秋)
柚木麻子(ゆずき・あさこ)「マジカルグランマ」(朝日新聞出版)