児童への性的虐待は、絶対に許さない。その意志を明確に示した法案が7月11日、ウクライナで可決された。
小児性犯罪者らに対して、化学物質を投与して性的欲求を減らすというものだ。地元メディアやインディペンデントなどが報じている。
インディペンデントによると、この法案は、未成年に対する深刻な性犯罪者に対して、抗男性ホルモン物質の投与を義務付ける内容だ。
UKRINFORMによると、18歳から65歳の性犯罪者が対象で、投与される薬には、性的欲求や性行動を抑える効果がある化学物質が含まれているという。
247人の国会議員が賛成を投じて可決した。
ウクライナ南部で起きた少女への誘拐レイプ殺人事件を受けて、深刻化する小児性犯罪は、7月に開かれるウクライナ議会選挙の重要な論点となっている。
この事件が、法案可決の後押しにもなっているという。
2017年には、ウクライナ国内で320人の子どもがレイプや被害にあったと報告されているが、性的虐待事件は1000にのぼるとみられる。
厳しい法案には、反対意見も出ている。
インディペンデントによると、この法案は当初、強制的ではなく「自主的な去勢」のみが盛り込まれていたという。
その原案を書いた犯罪学者は「化学的去勢は、刑罰として用いるべきではない。そうなったら、文字通り拷問となる。未成年に対する性犯罪者の多くは、健康な人たちだ。強制的な去勢は、文明社会のすることではない」と警告している。
法案は、議長と大統領の署名すれば、法令として定められることになる。
「化学的な去勢」をめぐっては、アメリカのアラバマ州でも6月、一部の性犯罪に義務付ける法案が可決された。
BBCによると、韓国やインドネシアでも、同様の法案が成立している。