北海道大学の名和豊春学長(総長)について、同大が解任の申し入れをする方針であることが7月5日、関係者への取材で分かった。
名和学長は北大職員に対するパワーハラスメントをしていた疑いがあるとして、学長選考会議2018年11月から調査をしていた。学長選公会議は学長のパワハラを認定。学長を続けることは不適切であるとして近く文部科学相へ解任の申し出をするという。
名和学長は、2018年12月10日から体調不良を訴え休職しており、2019年3月の卒業式や、4月の入学式も欠席した。現在は笠原正典副学長が職務代理を務めている。
北大広報課は「現時点ではコメントを差し控えたい」としているが、この問題について「世間的に大きな注目を集めているので、解任の申し出などがある場合はしかるべきタイミングで公表する」と説明した。
名和豊春学長の経歴は
北大の公式サイトによると、名和学長は1977年に北大工学部建築工学科を卒業。80年に北大大学院建築工学専攻を修了した。
同年、秩父セメント(太平洋セメント)に就職し、17年間勤務。
社会人をしながら東京工業大学で博士号を取得し、1997年に北大大学院工学研究科の助教授として戻った。2004年からは同研究科の教授に就任している。
その後、北大大学院工学研究院長などを経て、2017年4月に学長(総長)になった。任期は23年3月末までの予定。
国立大学が法人化してから学長が解任された例はない
国立大学の学長任命手続きをする文部科学省人事課によると、2004年に国立大学が法人化してから、学長が解任された例は今までにないという。
国立大学法人法によると、国立大学の学長の任命や解任の手続きは、学内外のメンバーで構成する選考会議の申し出を受けた後、内容を精査して文部科学相が可否を決定する。
担当者は「正式な申し出は現時点では来ていない。このような例は過去にないため、一般的にどう対応するかということについても説明しにくい」と話している。