助産師・看護師であり、性についての正しい知識を伝えることを目的とした動画を配信する“性教育YouTuber”として活動するシオリーヌこと、大貫詩織さん。
6月28日午前、自身のYouTubeのアカウントが「性的満足を目的とした性的なコンテンツの発信」とみなされ、収益化が予告なく一時的に停止されていることに気が付いたという。
シオリーヌさんは同日、自身のツイッターで、「YouTubeの収益化ガイドラインに違反してるとして、チャンネルの収益化すべて停止されました… 『性的満足を目的とした性的なコンテンツの発信』が原因とのことですが、 こんなに教育的な内容なのにどうして…」とつづった。
このツイートの返信には、彼女への応援コメントの他、「あの内容が教育コンテンツとして認められないプラットフォームはおかしい」「どこがガイドライン違反なの?」「コンテンツをきちんとみて判断しているのだろうか?」など、疑問の声や収益化停止の解除を求める意見が相次いだ。
通常、一度アカウントの収益化が停止してしまうと、再申請できるまでには30日を要するとされる。
動画配信者のコンテンツ内容がガイドラインの禁止事項に抵触していた場合、ガイドラインに沿うようコンテンツを修正して、再び申請することができる。
30日間は、そのための猶予期間のようなものだという。
しかし今回のケースでは翌29日午前、YouTube側がシオリーヌさんのアカウントの収益化の停止を、シオリーヌさん側に停止した理由を説明することなく解除していた。
ハフポストは28日午後、アカウントの収益化の停止が解除された後にYouTubeを運営するGoogleの広報担当者に問い合わせた。
Google側は、「チャンネルを拝見するに、広告が表示されているようですので、事実関係をご確認ください」と回答。
また、アカウントの収益化を停止していた事実や停止を解除した理由などについては一切言及はなく、「個別のアカウントや動画に関しての対応についてはコメントしておりません」とするのみだった。
一方でGoogle側は、性教育については「教育、ドキュメンタリー、科学、芸術が主な目的で、必要性や脈絡がある限り、ヌードも許可されます」とし、例えば、「乳がんに関するドキュメンタリーは適切なコンテンツと判断されますが、性的満足のためにそのドキュメンタリーから抜粋したクリップを投稿した場合はその限りではありません」と説明した。
性にとって大切な情報は「性的」であり、かつ「教育的」であるものもある
この件について、シオリーヌさんに取材したところ、次のように語った。
「コンテンツが健全な内容だ」と声をあげてくれた沢山の人たちの意見が、担当者に届いたのだと予想しています。でも、収益化が解除されるにあたっての説明が(YouTube側から)一切なかったんです。
性的なコンテンツって、私はいくつかグループ分けができると思っています。
まず、全ての人に平等に提供される必要がある“教育的な、保健指導的な”性の話。
それから、未成年や望まない人への配慮がきちんとなされた上で、嗜好したい人には届けられるような“アダルトコンテンツ”。
あとは、差別的な問題とかジェンダーの意識の観点から鑑みた時に、「これは絶対に提供されるべきではない」というような性のコンテンツもあると思う。
これらを全部一緒くたにまとめてしまうのは、ちょっと強引で問題があるんじゃないかなと思います。
「性」と「教育」は分けて考えられがちですが、性にとって大切な情報は、「性的」であり、かつ「教育的」であるものもあると思うんです。
YouTuberとして動画配信をしている仲間たちの間では、プラットフォーム側はもしかしたら、コンテンツを1つ1つ見ることなしに、収益化コンテンツを決めているんじゃないか?という声もよく聞きます。
今回の私の件も、もしかしたらコンテンツを見られずに判断されたのかなと思っています。
こういう事態になった時、きちんと異議を申し立てられたりする窓口のようなところをしっかりと設けてもらいたいなという願いがありますね。
あとは、「性的満足を目的とした性的なコンテンツの発信」とみなして収益化を停止するならば、具体的にどこの部分が不適切なのか、せめてきちんと明示した上でプラットフォーム側から説明してほしいと思います。
じゃないと、きちんと修正をすることもできないので。
しっかりとガイドラインに沿って、これからも“性”に対する大切な情報を届けていきたいと思っていますから。