シンガポールで開かれていた第18回IISSアジア安全保障会議(5月31日~6月2日)に出席した岩屋毅防衛相。
日程中の6月1日に日韓防衛相による非公式会談に臨んだことや、笑顔で韓国の鄭景斗(チョンギョンドゥ)国防相と握手を交わしたことなどが、自民党の一部の議員から「怒りに身が震えている」などと批判されていた。
この批判について岩屋防衛相は6月7日、閣議後の会見で「やり取りと挨拶は全く別物なのではないでしょうか」と反論した。
さらに、これらの挨拶が問題視されている点について「会うときも別れるときも気持ちよくというのが、私のモットーでございます。全く問題はなかったと思っております」と語った。
どんな批判が出ていたの?
岩屋防衛相は、どんな点で自民党内から批判されていたのだろうか。
6月5日の自民党の本部で開かれた安全保障調査会と国防部会の合同会合では、日韓の非公式会談の内容が話し合われた。
朝日新聞などによると、日韓の非公式会談では、2018年12月に起きた韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題について話し合われたという。岩屋防衛相は再発防止を求めたが、韓国側は照射を否定し、平行線に終わった。
会談後、岩屋防衛相は記者団に「私どもの見解に全く変わりはないが、未来志向の日韓防衛当局間の関係を作っていくため一歩前に踏み出したい」と述べ「北朝鮮の核・ミサイル問題がある中で、日韓両国間の防衛協力は極めて重要だ。協力していくことを確認できた」と説明した。
出席者からは、レーダー照射問題の議論が平行線をたどったことで、韓国側がこの問題に適切に対応しないかぎり、安易に会談すべきではなかったと批判が噴出。
小野寺前防衛大臣は「レーダー照射問題で、韓国側は日本の反論を恣意(しい)的に使ってきた。そういう相手だということを十分認識して対応してほしい」と語っていた。
また、6月6日には元航空自衛官で自民党の宇都隆史参院議員が動画を公開し、「(非公式会談で)自分で握手をしてにっこり笑って、おそらく本人は今回の件で、何が悪かったなんて到底思ってないんでしょうね」「バカじゃないか」など岩屋防衛相が韓国国防相と笑顔で握手したことなどを否定的に語っていた。