僕は歌舞伎町のホストクラブ「Smappa! Hans Axel von Fersen(スマッパ・ハンス・アクセル・フォン・フェルセン)」で代表を務める現役ホストです。
18歳でホストになってから14年。ホストの仕事を続けながら、このたびまったく新しいチャレンジとして、寿司屋の大将になりました。
5月2日にオープンした「へい らっしゃい」というお寿司屋さんで、大将として毎晩寿司を握っています。
ホストと寿司職人のダブルワーク。
色々な方に「なんで!?」と驚かれましたが、僕の中では二つの職業は繋がっています。
ホストクラブで感じていた、女性ならではの選択肢の少なさ
僕がなぜ寿司屋をやろうと思ったのか?
それは「女性の楽しめる場所を増やしたい」と思ったからです。
ホストになって14年、ホストクラブにいらっしゃる沢山の女性と話してきて、女性が社会で物凄く抑圧されていることを知りました。
夜遊びに関していえば、男性だけで行きやすいお店や、男性しかいけないお店は沢山あるのに、女性が気軽に遊びに行ける場所は少ない。更にホストクラブに行くことが、“悪いこと”のように思われてしまい、人に隠れて行かなければいけない状況。
もちろん、ホストクラブを選んで遊びに来てくださる女性たちには感謝しかありません。
しかし、男性よりも女性の方が選択肢が少ないということには、ずっと違和感を覚えてきました。
そこで僕は、女性がもっと気軽に来れる”遊び場”を提供したいと思いました。
なぜ「寿司屋」なのか
ではなぜ、寿司屋なのか。それは、これまでホストとして働いていく中で、女性に好きな食べ物を尋ねた時に、一番多かった答えが“寿司”だったからです。
僕自身、親族が経営する寿司屋を幼いころから間近で見てきたこともあり、寿司の世界に魅了されている人間の1人。
「へい らっしゃい」をオープンするにあたり、6カ月の間、親戚の寿司屋で修行をさせてもらいました。
ネタは毎朝、親戚と付き合いのある豊洲の鮮魚店から仕入れています。
なぜダブルワークなのか
ホストと寿司屋、なぜダブルワークなのか。
寿司屋一本で行けばいいのではと思われる方もいらっしゃると思います。
ダブルワークがベストかどうかはわからない。
でも、僕たちベテランホスト達が、これからどういう生き方をしていくのか?
というのが、我々の業界の課題なんです。
女性のお客様が「遊びにいきたい」と思った時、お寿司屋さんを選ぶ方もいればホストクラブを選ぶ方もいる。どちらも同じように選択肢として提案したいと思うんです。
それに、僕は14年間続けてきたホストという職業に誇りを持っています。これからもホストをやっていきたい。その中で、このキャリアを活かして、ホストのおもてなし精神が、他のサービス業でも通じることを示したい。
そんな思いから、今日も僕は、17時から寿司を握り、21時になったらホストクラブで、ホストとしてお客様を出迎えています。
おこがましいかもしれないけれど、僕みたいにダブルワークをするホストの存在が、一つの生き方の提示になればと考えています。