アメリカのメディア大手ウォルト・ディズニーは現地時間5月14日に、オンライン動画配信サービスHuluの経営権を取得したと発表した。
ディズニーは、コムキャストが保有するHulu株33%を買収することで合意した。これにより、ディズニーはHuluの完全な支配権を持つことになる。Huluが単一の企業下で運営されるのは初めて。
ただ、コムキャスト傘下のNBCUniversalの番組がHuluですぐに視聴できなくなるわけではないという。コムキャストは2024年まで「Hulu Live」契約を延長することで合意している。
Huluの所有企業はめまぐるしく変わってきた
Huluは2007年、ディズニーとNBCユニバーサル、21世紀フォックスなどの合弁事業として設立され、2008年からサービスを開始。
NBCユニバーサルはその後コムキャスト傘下になり、ディズニーが21世紀フォックスのエンターテインメント部門を713億ドルで買収。
ワーナーメディア部門を有するAT&Tが所有していた9.5%のHulu株も、2019年4月にディズニーへの売却に合意していた。これにより、Huluの所有企業はコムキャストとディズニーの2社に絞られていた。
Netflixを超える顧客数を獲得できるか。ディズニーが動画配信サービスに本格参入
今回、ディズニーがHuluの支配権を獲得したのは、ディズニーがオンライン動画配信サービスにアグレッシブな計画を進めている背景がある。
ディズニーはすでに「ESPN+」というスポーツ専門チャンネルを持っており、4月には、ディズニー作品が見放題の「Disney+」の計画を発表。
Disney+は子どもや家族向けコンテンツで11月12日にアメリカで提供が始まる。これに加え、大人が映画やドラマを楽しむHuluという3本柱での展開となる。
現在、動画配信サービスをけん引するNetflixとの覇権争いに、ディズニーが本格的に参戦してきている。
ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者は「Huluを完全に統合することで、ウォルト・ディズニーのブランドと創造的なエンジンをフルに活用して、サービスをさらに魅力的で消費者にとってより大きな価値にしていくことができる」と声明を発表している。
2017年に、日本テレビ放送網の100%子会社であったHJホールディングスが日本版Huluの経営権を取得。
その後、アメリカのHulu社やヤフー、東宝などが資本参加したものの、HJホールディングスは現在も日本テレビ放送網が筆頭株主で、日テレホールディングスの子会社となっており、今回のディズニーによる買収は影響が少ないとみられる。
HJホールディングス広報部は今回のディズニーによる買収の日本版への影響について「現段階ではお答えできません」と話している。
【訂正】
当初、HJホールディングスが日本テレビ放送網の100%子会社としてありましたが、その後5社からの資本参加があったため内容を変更しています。(2019年5月16日 19:22)