イースターの日に街の宝くじ券売り場でなけなしの10ポンド(1450円)で買ったスクラッチが、400万ポンド(約5億8000万円)に大化けした。
イングランド北部の都市州グレーター・マンチェスターのボルトンに住む無職のマーク・グッドラム(36)とジョン=ロス・ワトソン(31)は、このドラマのような展開に歓喜した。
当選を知ってからというもの、金のない2人は友人に借金をして街に繰り出し、5日間ほど浴びるようにシャンパンやカクテルを飲み干し、贅沢三昧の日々を送った。
ただ、この話にはさらなるドラマのようなオチがついた。
彼らには、6億円近くにのぼる当選金の支払いを、宝くじ運営会社が拒否しているのである。
いったいなぜ?
「友人のカード」で買ったスクラッチ?
スクラッチを買ったグッドラムは、購入の数日前に刑務所から出たばかりだった。一緒に購入したワトソンともども、2人は銀行口座を持っていない。
国営宝くじ運営会社「キャメロット」の聞き取りに対し、「小銭で買ったんだ」と話す2人。だが、キャメロット社は、このスクラッチが購入された経緯を突き止めた。
スクラッチは、銀行の預金口座に紐付けられているデビットカードを使って購入されていたのだ。
口座を持たない2人は、当然ながらデビットカードも持っていない。
この調査結果をキャメロット社が突き付けると、2人は「友人のジョンが、カードを貸してくれたんだよ」と主張。
じゃあそのジョンはどこの誰だ、と追及すると、だんだんと雲行きは怪しい方向に。
2人はごにょごにょと話を濁し始め、ついには「ジョンは匿名を希望しているんだ」として、“ジョン”の住所や氏名、電話番号を伝えることを拒否したのだ。
彼らはジョンに会わせろというキャメロット社に対して「ジョンは北のほうにトンズラしてる」と話している。
もしこのカードが盗難品だった場合、当選金は支払われない。2人が合法的にこのスクラッチを購入したことが証明できない限り、約6億円は手に入らないのだ。
イギリスのタブロイド紙メトロに対し、グッドラムはキャメロット社の支払い拒否を受けて「警察に訴えてやる。宝くじの当選金を受け取ることは自分の権利だ」と話した。
続けてワトソンは、宝くじを買ったロンドン南西のクラパムの公園のベンチで「こんな安っぽいベンチに座っているんじゃなくて、ラスベガスで生きるべきだろ」と語勢を強めた。
またデイリーメールに対してグッドラムは「まずはカリブ海に出かけて、ラスベガスに行くんだ。パスポートを用意しなきゃね」と胸を躍らせている。
地元では札付きのワル、2人合わせて強盗・窃盗など前科は100件近くあり、宝くじ会社が疑念
宝くじ運営会社のキャメロット社が疑念を持った理由は、当選を知らせた彼らの過去の経歴だった。
前科や前歴で人を判断すべきではないが、同じ犯罪に対する常習性については司法の現場でも重く受け止められる。
2人はボルトンの「最重要指名手配」リストに掲載されており、グッドラムは窃盗や強盗罪で45回の前歴があり、そのうち22件で有罪判決を受けた。幼いころからの友人であるワトソンは強盗を含む133の前歴があり、72件で有罪判決を受けている。
2018年にグッドラムからのガレージ強盗の被害に遭ったボルトンの男性は「彼は私のガレージを徹底的に荒らした。募金箱すら盗っていった。1万ポンドが戻ってきても、亡き母の写真や思い出は返らない。司法は全く役に立たない」と嘆いた。
そして、今回の当選について「当選が正真正銘の正当なものであるならば、彼らは私に負わせた被害だけでなく、彼らが盗んだ他のすべての人に当選金で弁償すべきです」と語っている。