麻薬の売買が社会問題になっているブラジルで、驚くべき事件が起きた。
ブラジルのピアウイ州で4月22日、地元の警察が麻薬密売の共犯容疑でインコを“逮捕”したのだ。
密売カップルに警察の襲来を大声で知らせる
ブラジルのテレビ局「R7ニュースチャンネル」によると、地元のテレジナ警察が、窓のないレンガ作りの平屋建ての家に、麻薬の密売をしているカップルがいることを突き止めた。
この2人は、クラック・コカインを取り扱っていたという。
アジトに警察が突撃するやいなや、アジトにちょこんと座っていた緑色のインコが、中にいた密売人たちにポルトガル語で叫び出した。
「ママ!サツだぜ~!」
警察の捜査に気が付いた“仲間たち”は、そそくさと証拠の隠滅を図った。しかし、インコの叫びもむなしく、アジトにいた密売人のカップルは警察に捕まった。
インコを飼っていたのは、麻薬密売容疑で起訴されたエドソン・ダミアオ・リマ・ドス・サントス容疑者と、同容疑で逮捕された17歳の少女のようだ。
環境省のペット動物販売者用のマニュアルや、オウム目識別マニュアルによると、冠羽がないためオウムではなく全身が緑色を基調としているボウシインコ類とみられる。
警察の取り調べに「黙秘」をつらぬくインコ
逮捕された密売人カップルと共に、インコも“逮捕・勾留”されることになった。
ガーディアン紙によると、飼い主に忠実なインコに対し、警察の調べも難航。
くちばしをきちっと閉じたまま「黙秘」を貫いたという。
地元の獣医アレクサンドル・クラーク氏は、「たくさんの警官がやってきても、彼は何も言わなかったよ」と話し、このインコが捜査に協力していないことを確認した。
たしかに、質問をいくら投げかけられても、横を向いて素知らぬ顔。なかなかくちばしを割らなそうだ。
勾留を終え、すでにこのインコは近くの動物園に移り、自然に戻すために3カ月の飛行訓練を受けているという。
オウムやインコが麻薬組織に飼われていた例は過去にも
ワシントンポストによると、こうした鳥が麻薬組織に飼われていた例はこれが初めてではない。
2010年には、コロンビアで同じような鳥が捕まっている。
この鳥は、コロンビアのバランキージャ市の麻薬組織に飼われていた。
警察がアジトに押し入ると、スペイン語で「逃げろ!逃げろ!」と叫んだという。アジトには、大量のマリファナのほかに、盗難バイクや武器が隠されていたという。
この鳥は強制捜査時に少なくとも4人の男たちと共に「逮捕」され、警察官から「ロレンツォ」という名前をもらった。
実はこの「見張り役」、ロレンツォ以外にも麻薬密売人から訓練を受けたオウムやインコらしき鳥が1700羽近くおり、すべて押収されたという。