(塩谷舞さんのInstagramより)
生理痛くらいで休んでちゃいけない。みんな耐えてるんだから。
ずっとずっとそう思ってやってきました。会社員の頃、地獄が始まるみたいな激痛と真っ暗な気持ちで目覚めた朝は、薬が効くまでベッドでうずくまりながら「ごめんなさい、腹痛で遅れます……」と男性上司含め、会社メンバー全員にスマホで連絡。
ああ、サボってると思われるかもしれない……と自己嫌悪になる。でも痛いものは痛い、だけど生理痛なんて病院に行っても治るものでもないし、鎮痛剤を飲んで堪えるしかない。そう思ってました。
でもこれまでに何度か、七転八倒するような痛さで救急車で運ばれることもありました。それでもお医者さんからも特別な診断をされる訳ではなく、「うーん、これも生理痛かなぁ?」「ストレスですかねぇ?」という感じ。だから私はずっと「みんな我慢できてる生理痛すら我慢できなくて情けない……」と思い続けていました。
そして昨年。また尋常ではない腹痛に襲われて入院。人生で初めて、登壇する講演会をドタキャン。悔しくて悲しくて泣いた。でもてっきり盲腸かと思っていたら「あれ、子宮内膜症かもしれませんね……」とお医者さんに言われた。
子宮内膜症、なんとなく聞いたことはあっても、詳しくは知らなかった。でもこれは女性の10%が持っている病気でした。10人に1人!あまりにも多いのに、どうして知らなかったのか。思い返せば、思い当たるサインは十二分に出ていたのに、なんで「我慢すべき……」と鎮痛剤だけで耐えてきたのか。
ここ数年、何度も婦人科で検診は受けていたけど、それでもなかなか気付かなかった。けど、先日MRIを撮ったところ、本当にしっかりと、ピンポン球みたいにまるまると、私の腹痛の原因が写ってました。子宮内膜症でした。(レントゲンが歪んでるのは、斜めから画面を撮影したからです)
「ただただ痛い」と「痛い原因が見えている」とでは、精神的なストレスがまるでちがう。だから、MRIの結果を見た瞬間に「はぁぁーーーやっと気づいてくれたの?」みたいな気持ちになって、なんというか、気づいてあげられずにごめんね、でももう大丈夫だよ……みたいな気持ちになって、少し安心した。
子宮内膜症って、手術したとしてもまたじわじわ再発することが多いらしくて。多くの場合、閉経までずーっと、うまく付き合っていかなきゃいけない病気。そんな状況を前に、今までの働き方じゃまた倒れてしまうからと、仕事を減らして、やりたいことを研ぎ澄ませて、身体に負担をかけないようにしていきました。これは根本的な解決ではないけれど、すごく楽になったし、周囲の理解も得られて生きやすくなった。病名がわかってよかった。本当に。
どうしてこんなことを書いたかっていうと、病気の知識って、びっくりするくらい入ってこないんですよね……。けど、知人やフォローしてる方々が病気を発表すると、そのことを知るし、周囲にも「もしかして…?」と気にかけることが出来る。 @blast.jp のリナちゃんたちの取り組みや、 落合陽一さんの息子さんの治療の様子などで知る病気がある。病気を知ることで、自分も、大切な誰かの人生を守ることにもなると思った。
だから、これを読んでる方で、生理痛が重すぎる方、激痛を家族やパートナーが訴えている方は、子宮内膜症の可能性があることを知って欲しいなと思いました。10人に1人もいるんだから、本当に特別なことじゃないんですよね。
詳しい症状はここでは書かないのですが、今は信頼ある医療情報を提供しているサイトが検索上位に出てくる世の中になってきているので。詳しくは調べてみてください。そして婦人科に行ってみてください。
私は基本的には元気ですので、ご心配には及びません。ただ、いつまた激痛が来るかわからないから、イベントなど日程をずらせないお仕事は、自分の中のカレンダーと要相談になりました。
だからこそ、自分のペースで仕事が出来る今の時代には感謝しかない。noteを作ってくださったピースオブケイクの方々には頭が上がりません。
もちろん病名がつかなくても、生理痛というのは大変なものです。だから「(生理痛で)休みます!」「はいどうぞ!」とSlackで当たり前のように報告できる世の中があって欲しい。だって女性に生理があるから私たちは生まれる。人が生まれるから社会が出来る。女性の生理は女性だけのものじゃなくて、社会全体で労っていくもの。ヘルシーに生きていきたいですね。
(以下、Instagram で子宮内膜症について綴った意図などを本記事のために追記したものです)
子宮内膜症である、とSNSに投稿したところ、本当に多くの女性から「実は、私もなんです!」というコメントやメッセージが寄せられました。
「10人に1人は持っている」と数値では知っていましたが、本当に現実社会で、多くの友人や知人がこの病気を抱えて、付き合いながら生きている、ということがわかりました。
ただ、第三者からは目に見えない病気であり、私も診断されるまではその症状を詳しく知りませんでした。多くの患者さんが女性特有の病気についてカミングアウトしにくい……と感じているからこそ、病名が広まっていない現状もあるのかと思います。
重度な生理痛や子宮内膜症については、男性や、生理痛が軽度な女性からの理解も必須です。ただ、体験していないことに対して理解する……というのはほぼ不可能です。せめて「あの人がこう言っていたから」という参考事例として男性にも女性にも知ってもらいたくて、SNSに投稿しました。
台湾では「女性の生理は大変なもの」として、男女問わず生理中の女性をしっかりケアをするという話も聞きました。性教育の成果だそうです。一方、これまでの日本では「女性の生理は内緒にするもの」として、どこか男子禁制のようなムードが出来上がっていました。もちろんプライバシーとして、第三者には伝えたくない領域だってあります。ですが、過去の常識にしばられてSOSを出せないような状況は辛いし、生理に対するイメージを変えていかなければ、と思っています。
この記事は4月8日に投稿された塩谷舞さんのInstagramに加筆したものです。