日本とアメリカで数々の記録を残してきたイチロー選手(45)が、3月21日、現役選手からの引退を表明した。アスレチックスとの試合後、東京ドームホテルで記者会見が行われた。
イチロー選手は、一つ一つの質問に、言葉を選びながら、噛みしめるようにゆっくりと答えた。目が少し赤いようだった。
一問一答は次の通り。
引退決めたタイミングと理由は?
タイミングはキャンプ終盤ですね。日本に戻ってくる、何日前かはお伝えできないですけど、終盤に入った時です。
もともと東京ドームでプレーするところまでが契約上の予定だったこともあったんですけれども、キャンプ終盤でも結果を出せずに、それを覆すことができなかったということですね
思い残すことは?
今日のあの、球場での出来事…あんなもの見せられたら…後悔などあろうはずがありません。
もちろんもっとできたことはあると思いますけど、結果を残すために自分なりに重ねてきたこと、人よりも頑張ったということは全く言えないけど、自分なりに頑張ってきたということははっきりと言えるので。
これを重ねてきて…まぁ、重ねることでしか後悔を生まない、ということはできないのではないかと思います。
子どもたちにメッセージを
メッセージかぁ…苦手なんだよなぁ…。
(考え込む)
野球だけじゃなくてもいいんです。自分が夢中になれるものが見つけられれば、それに向かってエネルギーを注げられるので、そういうものを見つけて欲しい。それが見つかれば自分の前に立ちはだかる壁にも向かっていける。たち向かうことができると思います。
それが見つからないと、壁ができると諦めてしまうということがあると思う。いろんなものにトライして。自分に向くか向かないかというよりも好きなものを見つけて欲しいと思います。
選手生活で一番印象に残っていることは色々な記録に立ち向かってきたんですけど…そういうものは大したことではないというか。
自分にとって、それを目指してやってきたんですけど、いずれそれは僕ら後輩が先輩たちの記録を抜いていくということはしなくてはいけないことだと思いますが、そのことにあまり意味はないというか。そんな風に体験すると小さく見えてくる。その点で10年続けてきたMVPをとったとかオールスターとったとかは本当に小さいことに過ぎないと思います。
今日のあの舞台に立てたことというのは、去年の5月以降ゲームに出られない状態になって、それを最後まで成し遂げられなければ今日のこの日はなかったと思うんですよね。
去年の5月からシーズン最後の日まで、あの日々はひょっとしたら誰にもできないことかもしれない、というささやかな誇りを生んだ日々。
どの記録も自分の中では、ほんの少しだけ誇りを持てたことかなと思います。
「イチメーター」のエイミーさんがいた。ファンはどんな存在か
実際にそれが起きて19年目のシーズンをアメリカで迎えていたんですけど、日本のファンの方の熱量は普段感じることが難しい。
久しぶりに東京ドームに来てゲームは静かに進んでいくんですけど、なんとなく印象として、日本の方は表現することが苦手というか、そんな印象があったんですけど、それが完全に覆りました。
内側に持ってる熱い想い。それが確実にあるということ。とても想像つかなかったことです。
最も特別な瞬間。自分のためにプレーすることが、チームのためにもなるし、見てくれる人も喜んでくれると思ったが、NYに行った後に人に喜んでもらうことが一番の喜びに変わってきたんですね。
その点でファンの人無くしては自分のエネルギーは全く生まれないと行ってもいいと思います。
おかしなこと言ってます?(笑)