フィギュアスケート世界選手権は3月21日、さいたまスーパーアリーナで行われた男子ショートプログラム。羽生結弦選手が4カ月ぶりの実戦に復帰し、首位のネイサン・チェン選手(アメリカ)と12.53点差の3位発進となった。
緊張は見られたが、堂々の復帰戦だった。
最終グループのトップバッターで登場した羽生結弦選手は、ブライアン・オーサーコーチが手にしたプーさんのぬいぐるみを一つなでて、小さく笑顔を浮かべてリンクへ。割れるような大きな歓声と拍手で迎えられた。
気合たっぷりの表情で演技を始めたが、冒頭の4回転サルコーがダブルサルコーになり、得点にならないミス。だが、続くトリプルアクセルと、4回転トゥループー3回転トゥループの連続ジャンプは完璧に決め、スピンやステップも「秋によせて」の切ないメロディーに乗せて全身の表情豊かに決めた。
演技を終えると、客席からはたくさんのプーさんが氷上に投げ込まれ、「お帰りなさい」という声もかけられた。
首位は前回王者のネイサン・チェン選手(アメリカ)。最終滑走で登場したチェン選手は、4回転ジャンプも決めた圧巻の演技で自己ベストの107.40。ジェイソン・ブラウン(アメリカ)選手がミスのない演技で96.81で2位につけた。宇野昌磨選手は、冒頭の4回転フリップで転倒し、91.40で6位だった。
「この悔しさは明後日にとっておく」
キスアンドクライでは、「94.87」という得点にも「仕方ない」というように小さく首を傾けながらうなずいた羽生選手だが、試合後のインタビューでは悔しさを隠さなかった。
「冒頭のジャンプでミスが出てちょっと焦った。そのあとは一生懸命になりすぎた。集中できていなかった。練習を結果が出ないということは練習が積めていないということ」と厳しく語り、「日本という地で完璧に滑れなかったことには、悔いが残る。この悔しさは明後日に取っておく」と悔しさをにじませた。
「明日を有効活用して、フリーで挽回したい」と語った羽生選手。「不完全燃焼なので、完全燃焼できたと言えるように頑張ります」と23日のフリーでの逆転を誓った。
男子ショートプログラムの主な結果は次の通り。
1位 ネイサン・チェン(アメリカ)107.40
2位 ジェイソン・ブラウン(アメリカ)96.81
3位 羽生結弦(日本)94.87
6位 宇野昌磨(日本)91.40
19位 田中刑事(日本)78.76