北方領土の日本への引き渡し、ロシア人の現住民の9割が反対。世論調査で判明

「ロシア住民にとって主権の問題は解決している」と専門家は指摘
会談後の記者発表で握手を交わす安倍晋三首相(左)とプーチン大統領=1月22日、モスクワ
会談後の記者発表で握手を交わす安倍晋三首相(左)とプーチン大統領=1月22日、モスクワ
Mikhail Metzel via Getty Images

北方領土に住むロシア人の9割以上が、4島の日本引き渡しに反対──。そんな結果がロシア側の世論調査で明らかになった。

ロシア全土で実施した別の調査でも7割が反対と回答している。ロシアのプーチン大統領は「両国民に受け入れ可能な解決策」の必要性を訴えており、交渉の困難さが改めて浮き彫りになった。

択捉島
択捉島
Sergei Krasnoukhov via Getty Images

ロシア政府系の世論調査機関「全ロシア世論調査センター」(モスクワ)が2月11~17日、北方4島のうち択捉、国後、色丹の3島に暮らす18歳以上のロシア人を対象に調査を実施し、19日に発表した。

調査に対し、回答を得たのは計約7700人で、島民の3分の2にのぼるという。歯舞群島には軍関係者のみがおり、一般のロシア人は暮らしていないため除外されたとみられる。

調査では、北方領土の引き渡しの賛否を質問。択捉では97%、国後では96%、色丹では92%がそれぞれ反対と答えた。

同センターのコンスタンチン・アブラーモフ所長は「結果から言えることは、ロシア人の島民にとって南クリル(北方領土のロシア側呼称)の国家主権の問題は解決している」と分析した。

サッカーを楽しむ国後島の子どもたち=2015年9月
サッカーを楽しむ国後島の子どもたち=2015年9月
Thomas Peter / Reuters

別のロシアの民間世論調査機関「レバダセンター」(モスクワ)も2018年11月、ロシア全土を対象に同様の調査を実施。引き渡しに反対と答えた人は74%で、賛成は17%だった。

プーチン大統領は1月下旬、安倍晋三首相との会談した後、「平和条約の条件は、両国民にとって受け入れ可能で、世論から支持される解決策でなければなない」と述べている

そうした意味で、調査結果は今後の日ロ交渉の厳しさを見通す形となった。

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