アメリカのトランプ大統領は2月15日、国境の壁の建設をめぐって国家非常事態を宣言した。
「非常事態」というと、震災や戦争などをイメージしがちだが、壁の建設をめぐって「国家非常事態」とは、一体どういうことなのか?
アメリカにおける国家非常事態宣言とは、戦争や災害など国家の危機に対応するため、米軍の最高司令官でもある大統領が出す宣言。議会の承認を得ずに、予算の手当や海外資産の凍結などができる。(朝日新聞用語解説より)
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今回の場合、議会が壁建設の予算を認めなかったため、トランプ大統領は、議会を通さず予算を捻出できる国家非常事態を宣言することで、強引に壁の建設を進めようとしている、ということだ。
過去の非常事態
国家非常事態法が1976年に成立して以降、約60の宣言が出され、現在もイラン政府の資産凍結など約30が有効な状態にある。
過去には2001年のアメリカ同時多発テロ事件などで宣言されている。ほとんどの場合は、テロや人権侵害、違法薬物の取引などの犯罪を犯した海外の人物や団体、国に対しての制裁措置であるとNYタイムズは報じている。
「今までの非常事態とは違う」
ニューヨーク大学の「Brennan Center of Justice」で大統領の緊急時の権力に関する調査を監督したエリザベス・ゴイステイン氏は「どんな広い解釈をしたとしても、この状況を非常事態と言えないでしょうーー。議会がすでに反対した予算を、大統領の緊急権限を使い覆そうとしている。今までの非常事態宣言とは使われ方が大きく違います」とNYタイムズに語った。