■上原が30代後半に残している驚異的な数字
レッドソックスの上原浩治投手(39)が今季も驚異的な活躍を続けている。14日(日本時間15日)のインディアンス戦では1点を追う9回に登板して1イニングを無安打2奪三振。残念ながらチームの勝利につながることはなかったが、防御率は圧巻の0.61まで下がってきた。
レッドソックスの球団公式サイトでは、この試合の前にその凄さをあらためて紹介する記事を掲載。これまでに残してきた驚異的な成績を元に、上原がいかに優秀な守護神であるかについて言及している。
上原の優秀さを証明するために比較対象として選ばれているのは、元ヤンキースのマリアノ・リベラだ。昨季限りで引退した右腕は、歴代最多の652セーブを記録。誰もが史上最高のクローザーと認める存在だが、上原がこの4年と2か月で残してきた数字も遜色ないものだという。
記事では以下のようなデータを紹介している。
「リベラは35~39歳の5年間で、実に331試合、361回2/3に登板している。その期間、WHIP(1イニング当たりの安打+四球)0.904、9イニング当たりで打たれたヒット6.67本、1四球を与えるまでに奪った三振6.07個、対戦したバッターの25.4%から三振を奪い、防御率1.89を記録している。そして、最も驚異的なのは、それぞれの数字がその前の5年間を上回っていることだ」
史上最高のクローザーが30代後半にして残した成績は、まさに驚異的と言える。では、上原はどうなのか。同じように記事で紹介されているデータは以下の通りだ。
「レッドソックスのクローザーであるコウジ ウエハラは現在、39歳シーズンを過ごしている。35歳シーズン(2010年)から木曜日(14セーブ目を挙げた12日のインディアンス戦)までの間、彼は246試合(248イニング)に登板。WHIP0.706、9イニング当たりで打たれたヒット5.26本、1つの四球を与えるまでに奪った三振10.77個、対戦したバッターの35.2%から三振を奪い、防御率1.78を記録している」
どの数字をとっても遜色ない。いや、むしろリベラをも上回っていることが分かる。
2009年の渡米直後、上原はオリオールズで先発としてキャリアをスタートさせた。12試合で防御率4.05、WHIP1.245。スターターとしての成績は、平凡なものと言えるだろう。ただ、リリーフに転向してからの活躍は、メジャー史上に残るほどの素晴らしいものだ。
■上原はア・リーグナンバーワンの救援投手
昨年、世界一に輝いたレッドソックスの守護神として、上原の成績の素晴らしさは今まで以上に注目を集めるようになった。だが、オリオールズのクローザー、そしてレンジャーズのリリーフだった時から、安定感は群を抜いていた。これらのデータは、それを完璧に証明している。
記事によると、メジャーで2010年以降にリリーフとして200試合以上に登板した投手は96人。上原はそのうちの1人になるわけだが、この期間に残してきた成績は、ほとんどがトップクラスに位置しているという。紹介されているデータを列挙してみよう。
・9イニング当たりの被安打数5.26は、アロルディス・チャップマン、クイレイグ・キンブレルに次ぐ3位
・WHIP0.706は1位
・1つの四球を与えるまでの奪三振10.77は1位
・9イニング当たりの四球1.09個は1位
・9イニング当たりの奪三振11.72は8位
・防御率1.78はキンブレル、エリック・オフラハティに次ぐ3位
・被打率1割6分6厘はチャップマン、キンブレルに次ぐ3位
・被出塁率1割9分3厘は1位
・被長打率2割9分6厘はキンブレル、チャップマン、ケンリー・ジャンセン、ジョニー・ベンターズに次ぐ5位
・被OPS(出塁率+長打率).489はキンブレルに次ぐ2位
上原が現在のメジャーで屈指のリリーバーであるということが一目で分かる。しかも、チャップマン(レッズ)、キンブレル(ブレーブス)はナ・リーグの投手であるため、上原は現在、ア・リーグNO1の救援投手だと言えるだろう。
今季、レッドソックスは苦しいシーズンを送っている。その中でも、上原は集中力を切らさず、田澤純一とともに自分の役割を果たしてきた。もちろん、プレーオフ進出の可能性は、まだ十分に残されている。最強クローザーがフル稼働する時期は、必ずやってくるはずだ。
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(2014年6月15日「フルカウント」より転載)