(文・笛美)
Twitterで政治のことをつぶやいたり話したりしたとき、こんなことを言われたりことはありませんか?
「勉強してから発言しろ」「両方の意見をちゃんと見たのか。」「陰謀にだまされているだけ」「門外漢はだまってろ」「理論的に言ってください」「政治家だってがんばってるのに。」「あなたがその立場だったら同じことができますか。」
きっとそのような言葉に傷ついたり、コメントを削除したり、もう言うのやめよ…って思った人は多いと思います。コメントする前から、「私なんかがこんなこと言っていいのかな?」と気になってしまったり。実は私もその1人なんです。でも、この批判する人を批判するのって、やっぱりおかしいかも?自分なりにその理由を言葉にしてみたいと思いました。
CMで考えてみた
例えばなんですけど、あなたはCMを見て、こんな風に思ったことはありませんでしょうか?
「くだらない」「変なの」「ウケる」「つまらない」「かわいい」「かっこいい」「ダサい」「うるさい」「そもそも覚えてない」
そんな風にCMへのコメントをTwitterでつぶやいた時、こう言われるなんて想像できますか?
「勉強してから発言しろ。」「両方の意見をちゃんと見たのか。」「陰謀にだまされているだけ」「門外漢はだまってろ」「広告屋だってがんばってるのに。」「あなたが広告屋の立場だったら同じことができますか。」
どうでしょう?変ですよね。そもそも、そんなこと言う人はいないし。
広告屋としても(編集部注:笛美さん広告業界で働いています)これはおかしいと思います。広告へのアンケート調査などで寄せられた声を、広告屋の人たちは、たいていは真摯に受け止めます。その結果を読み解きながら、なぜこう言う風に思われたんだろう?と考えます。そして例えば「そうなんだ、私たちが作った広告は、インパクトはあったけど、あまり商品の魅力が伝わらなかったんだね。じゃあ次はもっと分かりやすい表現にしようか。」とか次の手を考えるのです。もちろん出来ることと出来ないこと、たくさんの制約はありますが。「なにも分かっていない素人が、広告に口を出すんじゃねえ!」と世の中の人に怒っている広告屋さんは、少なくとも私の周りでは見たことがありません。いい人だからじゃなくて、それが仕事だからなんじゃないかな?と思っています。
他の商品でも同じです
他の例でも考えてみました。
「パンがおいしくない」→「ちゃんとパンの製造方法を調べたのか?」
「ワンピースのデザインが可愛くない」→「あなたにはそんな服が作れるのか?」
「アプリの使い勝手が悪い」→「自分の本業をすれば?」
「映画が面白くない」→「面白いと言う人の意見もちゃんと聞いた?」
うーん、やっぱりちょっとおかしいですよね。素人の意見に対して、誰かにそう突っ込まれるのは。
ご意見なり売り上げなり、フィードバックが来るのは当たり前。その素人=お客様の意見を、どう受け止めて改善するかはプロの仕事。基本的にはビジネスにおけるフィードバックって、そう言うものなんじゃないかなあ…。よほど根拠のない誹謗中傷だったら別だけど。
政治だけ特別ではない
政治家さんも広告屋、パン屋、洋服屋と同じ、ひとつのお仕事ではないでしょうか?だから政治に素朴な意見を言うのは、CMやパンや服やアプリに意見を言うのと同じくらいの気軽さでいいのかなと。なぜ政治だけ例外にしようとするんでしょうかね?私たちの税金をお給料として働いている人たちなのに。これまで私たち国民が、政治にコメントはおろか投票というフィードバックもしてなかったから、政治の場も戸惑っているのかもしれないけれど、プロの政治家さんならば、その声を分析して、出来るかぎり次の一手を考えてくれるはず。「政治家さんがかわいそう」という過度なおもんばかりは、政治家さんのプロ意識を尊重しているのかな?と疑問に思います。
あと日本国民は政治に関心がないと言われますが、義務教育で最低限の政治の勉強はしてます。学習指導要領にも書いてある。
第3節 公民:文部科学省
ずっと前にしか政治を勉強してない、と言うのは当てはまる人もいるだろうけど、「政治を全く勉強してない」というのは、当てはまらないんじゃないかな?
と言うことで、CMにコメントを言うように、政治にも気軽にコメントをしていいんじゃないでしょうか。まずは思ったことをポンポン言っていきましょうよ。上手い伝え方を考えるのも、さらなる勉強をするのも、その次のステップでいいじゃないでしょうかね?違ったら訂正すればいいし。誹謗中傷や意地悪はダメと思うけど。もし「よく分かってない」と言われてる人がいれば、助け舟を出しましょう。そして、より良い政治と私たちの関係を作っていけたらいいですよね。
追記1:表現の自由について
日本国憲法では、表現の自由を条件なしでお墨付きしてくれてます。だから私たちはどんな政治的発言でもしていいことになっています。
ちなみに自民党の憲法改正草案はこんな風になっています。
「公の秩序」って何ですかね?誰が「公益」を決めるんでしょう?なぜわざわざこの一文を入れたの?もしかして政府が決めた「公益および公の秩序」のためにならない表現はNGになる可能性もあるのかな?自由に政治の話ができる世の中になるように、憲法にも目を凝らしていきたいですよね。
追記2
「素人」という言葉について、フォロワーさんから意見をいただきました。すごく参考になるので紹介させていただきます。
素人かプロかで言ってしまうと、政治家しか意見を言えなくなっちゃいますもんね。有権者はみんな政治に何かを言う権利がある。いい視点をいただいてありがとうございます。
参考
私が思ったことをポロッと投稿したことを褒められて泣いたウェブ番組
批判の大切さを教えてくれた動画
「パリピばりのコミュ強国家を目指してかなあかん」目指せパリピ。
(2020年05月16日、笛美さんのnote掲載記事「なぜ素人でも政治の話をしていいのか考えてみました」より転載。)