特別養護老人ホーム、7割以上が人材不足。「新卒採用なし」が過半数

調査によると、人材不足の影響で13%の特養が利用者の受け入れを制限しているという。
福祉医療機構のホームページ
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福祉新聞

2019年3月時点で全国の特別養護老人ホームの73%が人材不足に陥っていることが8月21日、福祉医療機構(WAM)の「18年度介護人材に関する調査」で分かった。

 

「人材不足」との回答は16年度47%、17年度64%と年々深刻化している。

 

 調査は19年3~5月、3561の特養を対象に行った(有効回答率24%)。施設形態は従来型40%、個室ユニット型46%、一部個室ユニット型14%。

 

 それによると、人材不足の影響で13%の特養が利用者の受け入れを制限していた。本体施設で受け入れを制限している特養の平均利用率は82%で、14床の空きがあった。

 

 不足人数は4人未満が61%を占め、10人以上も5%。不足する職種は介護職員が99%で突出して多かった。

 

 19年4月の新卒採用は「なし」が53%と半数を超えた。1施設当たりの平均新卒採用は3年連続で減少し、19年度は1・00人に落ち込んだ。一方で、60歳以上の職員の割合は14%。16年度の10%より4ポイント上がり、高齢化が進行していた。

 

 近年の採用活動で対応した学生の傾向について聞くと、43%が「変化した」と答えた。具体的には「福利厚生や休日数などの労働条件の重視」「インターネットを通じた就職活動の一般化」のほか、「入職後の研修やキャリアアップに関する質問の増加」「転職をためらわない傾向」が挙がった。

 

 効果があった採用経路は、新卒では「学校訪問」「資格取得実習受け入れ」が多かった。中途採用では「ハローワーク」「福祉人材センター」のほか、「人材紹介会社」も目立った。人材紹介会社に18年度に支払った手数料は平均208万円だった。

 

 WAMは「新規採用もさることながら、若い年代の職員の定着が課題」と分析。定着のポイントとして(1)採用時のマッチング(2)入職後の教育・バックアップ体制(3)職員が見通しをもって働き続けられる環境――を挙げた。

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