楽天モバイルは、初の独自開発スマートフォン「Rakuten Mini」の先行販売を開始しました。当初は楽天サポータープログラム限定での販売となります。
「Rakuten Mini」は、税込2万1800円という低価格ながら、FeliCa(おサイフケータイ)・eSIMを搭載したスマートフォンです。また、小型な筐体も特徴で、ディスプレイは3.6インチと、一昔前のフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)並となっています。
いざ実機に触ってみると、想像以上に小型。本体サイズはiPhone 11 Proより一回りも二回りも小さく、シャツの胸ポケットにも難なく入ります。重さは79gと、iPhone 11 Proの半分以下。厚さは8.6mm。超小型端末の「Palm Phone」や、ドコモの「カードケータイ」を彷彿とさせるサイズ感です。
こうした小型端末で心配になるのが文字入力です。タッチパネルではある程度画面サイズが大きくないと、文字入力がしずらいデメリットがあります。
「Rakuten Mini」で実際に試してみたところ、画面が小さいので、慣れないうちは誤入力が多くなります。SNSやメッセージアプリで頻繁にテキストをやりとりする場合はストレスを感じるでしょう。ただ、端末の想定ターゲット的にも、そうしたユーザーに向けた端末ではないはず。『メッセージのやりとりはたまにでいい』というユーザーには十分です。
カメラは1600万画素のシングルレンズ。試しに職場で撮影したところ、下記のような作例になりました。
実機が届いたばかりなので設定できていませんが、この価格帯とサイズでおサイフケータイ(FeliCa)に対応する点も驚きです。通常、FeliCaに対応する端末は高価な傾向にあり、一般的な格安スマホでもFeliCa非搭載端末が大半を占めています。本機でもモバイルSuicaなどを設定すれば、日常のキャッシュレス決済もこなせます。
SIMスロットを搭載せず、代わりに「eSIM」を搭載する点も特徴です。実際の挙動は確認していませんが、同じくeSIMを搭載するiPhone 11やPixel 4では、海外渡航時にスマホ操作だけで、現地の安価な通信回線を利用できるメリットがあります。「Rakuten Mini」でも同様の使い方ができれば便利そうです。
なお、こうした極小スマホは「バッテリーの短さ」が課題です。これは、物理的にバッテリーを搭載するスペースが限られるためです。
「Rakuten Mini」のバッテリー容量もわずか1250mAhで、一般的なスマートフォンの半分から3分の1以下。バッテリー駆動時間はまだ公表されていません(楽天によれば、まだ算出していないため)。画面が小さく電池消費が抑えられるとはいえ、長時間ネットをブラウジングするといった用途には向かないでしょう。
小型端末ならではのデメリットはあるにせよ、このサイズ感と価格でeSIM・FeliCaを搭載。なおかつ、動作がもっさりするなどの『安っぽさ』を最低限に抑えているのは驚きでした。
まとめると、魅力は「価格」「FeliCa」「サイズ感」。デメリットは「文字入力」「電池の持ち」でしょうか。スマホをごりごり使いこなすユーザーには向きませんが、通話とメール、たまにSNSができれば十分というユーザーや、タブレット端末との2台持ちをするユーザーにはオススメできそうです。
余談ですが、端末の製造元はODMベンダーのTinno mobile(深圳市天瓏移動技術)で、Tinno MobileはWikoを傘下に置きWikoブランドのスマホを製造している企業でもあります。
(2020年1月23日Engadget 日本版「2万円の極小FeliCaスマホ「Rakuten Mini」に驚く──実機インプレ」より転載)
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