子猫のマンチーは、現在生後7カ月。
仲間の猫たちの体によじ登ったり、おもちゃで遊んだりする無邪気な姿は、他の子猫となにも変わらない。
だけど一つだけ、他の猫と違うことがある。マンチーの体はこれ以上大きくならない。
それはある病気のためだ。
「初めてマンチーに出会ったのは、2019年9月です。私の勤務する動物病院に、一人の女性が連れてきました」と飼い主のエミリー・トムリンソンさんはハフポスト日本版に説明する。
トムリンソンさんの勤務する動物病院は、イギリス中部の都市ウルヴァーハンプトンにある。
マンチーは地元の公園に一匹でいるところを女性に保護されて、動物病院に連れてこられたという。
当時、マンチーは生後3〜4週間とみられた。「角膜浮腫」という症状のため両目が白かったが、視力に影響はなかった。
しかし、この症状のために捨てられたのかもしれないとトムリンソンさんは考えている。
引き取り手がいなかったマンチーを、トムリンソンさんは自宅に連れて帰った。一週間しても飼い主が現れなかったため、マンチーは正式にトムリンソンさんの家族の一員になった。
その年のクリスマスに、トムリンソンさんは婚約。しかし幸せいっぱいだった時に、突然マンチーが倒れる。「とても動揺した」とトムリンソンさんはその時のことを振り返る。
「マンチーが倒れたのは、クリスマス翌日の12月26日でした。私は時間外診療をしてくれる病院にマンチーを運びました。5日間にわたって、超音波検査や血液検査、レントゲンなど様々な検査を受けた結果、マンチーはカルシウムの値がかなり低いことがわかりました」
通常は最低でも1.9あるカルシウム値が、マンチーは0.52だった。検査の結果、マンチーは「甲状腺機能低下症」という稀な病気だと診断された。そして、この病気のために体がこれ以上大きくならないということもわかった。
一時は危機的な状況だったが、マンチーはトムリンソンさんの献身的な世話を受けて奇跡的に回復した。
しかし今後もカルシウムやビタミンDなどを与え、検査を続けなければいけないという。
「マンチーの病気は、生涯付き合い続けなければいけないものです。現在、状態は落ち着いていますが、カルシウムレベルが安定するまでは、血液検査を毎月受けなければいけません。その後は2カ月に1度、もしくは3カ月に1度検査を受けることになるでしょう」
甲状腺機能低下症は珍しい病気でほとんど情報がないため、他の猫たちと同じくらいの寿命を生きられるかわからない。
マンチーの検査や世話にはたくさんのお金や時間がかかるが、トムリンソンさんは、マンチーが家族になってくれてとてもラッキーだと話す。
「マンチーはとても生意気で可愛い子です。かまってもらったり、抱っこしてもらうのが大好きです。マンチーが来てくれて、私たちはとても幸せです」
一緒に暮らす先輩猫や犬たちも、マンチーを可愛がっている。
マンチーのInstagramには、マンチーの3倍はある先輩猫が、小さなマンチーの面倒をみている写真がたくさん投稿されている。
一人ぼっちで公園に残され、命の危機も経験したマンチー。1.7キロの子猫は、おそらくこのまま子猫の大きさのまま生きていくだろう。
それでもマンチーは、毎日を自分のペースで過ごし、家族との一日一日を楽しんでいる。
<↑Instagram動画:「かまって欲しいの?」と聞かれて、ニャーと返事をし尻尾を振るマンチー>