海外からの観光客数が増加し、日本でもしばしば影響を感じるようになった旧正月。中国や韓国、ベトナムなどでは新暦の正月以上に重視され、盛大に祝われる。いずれも月の満ち欠けを基準にした旧暦では、2020年は1月25日が「元日」にあたる。各国では「年末」から連休に入るが、お祝いの仕方は国ごとに特徴がある。それぞれ、どう祝うのかを調べてみた。
まずは中国。旧正月を「春節」と言い、家族がそろって過ごすことが一般的だ。連休の序盤と終盤には、日本の年末年始のような帰省ラッシュが起こる。
大晦日から元日にかけては、お祝いの花火を打ち上げたり、爆竹を鳴らしたりして、賑やかに過ごすことでも知られる。最近では都市部で爆竹の煙などによる大気汚染が問題になり、当局の自粛要請もあって縮小傾向にある。
日本の年越し蕎麦やおせち、お雑煮のような、春節の定番料理もある。地域差は大きいが、縁起の良いとされる餃子や魚を使った料理が広く食べられる。
連休を利用して旅行に行く人も多く、朝日新聞によると、中国政府の調査では2019年には630万人が海外旅行に行った。2020年は中国で新型肺炎の感染の拡大が続いていることもあり、日本政府は1月21日、関係閣僚会議を開き、検疫での水際対策の徹底を確認した。
韓国はどうか。韓国では旧正月を「ソルラル」と呼び、やはり家族団欒で祝うのが一般的だ。親戚や知人、友人に贈り物をしあう習慣もある。
ソルラルならではの遊びとしては、韓国版のスゴロクのような「ユンノリ」がある。サイコロの代わりに棒を投げ、棒の裏表の出方に応じて駒を進める遊びだ。
定番料理は日本のお雑煮に似た「トックク」を元日の朝に食べる。日本の餅より粘り気の弱い、弾力のある薄切りの餅をスープに入れて食べる。
南に飛んで、次はベトナム。
ベトナムでは、旧正月は「テト」の名でお祝いされる。ベトナムのテトに欠かせないのが、花。梅や桃などの花を家に飾って新年を祝う。テトの時期になると、各地で花市が開催され、大きな花束を担いでバイクを運転する姿も見られる。
ベトナムにもおせちのようなテトの定番料理があり、代表的なのが「バインチュン」と呼ばれるベトナム風のちまきだ。
ここで紹介した3カ国以外にも、中国系の住民が多いマレーシアやシンガポールなど東南アジア諸国でも旧正月は祝われる。