会社や学校には、様々な考えを持っている人がいます。意見が同じになるときもあれば、ケンカになるときもあります。
そんなとき、「自分とは違う立場の相手の気持ちを想像することが大事だよ」とよく言われます。
でも、それだけでは足りないのかもしれない——。障がい者として社会で生きることを考えた著書『ママは身長100cm』を書いた伊是名夏子さんと、紛争地の取材を続けるフォトジャーナリストの安田菜津紀さんのお二人と話していると、そんな思いがよぎります。
ハフポスト日本版は、2人をお招きし、「他人の気持ちを想像すること」のさらに一歩先のことを考えるイベントを開きます。オフィスや教室、街中で出会う「あの人」や「この人」。理解し合うために必要な「想像力の一歩先」とは何なのか。ぜひ参加してみてください。
<イベント概要>
【日時】 2019年10月20日(日)14:00-15:30 開場:13:30
【場所】株式会社メディアジーン 6F
〒150-0044 東京都渋谷区円山町23‐2 アレトゥーサ渋谷【参加費】大人:税込500円 子ども:無料
お子様連れの方も大歓迎!お子様向けの飲食やおもちゃも用意しています。【お申し込みURL】イベントは終了致しました
【定員】 80人
【ゲスト】 伊是名夏子さん・安田菜津紀さん
【主催】ハフポスト日本版
【会場協力】MASHING UP
【ファシリテーター】竹下隆一郎(ハフポスト日本版編集長)
車いすを体験したら障がい者を理解できる? 伊是名夏子さん
生まれつき骨の弱い障害があり、車いすで生活している伊是名夏子さん。身長はわずか100センチで、育てている子供の方が背が大きくなりました。
最近は、足に障がいのない人が実際に車いすを体験するなど、車いすを使う人への関心も高まっているといいます。「車いすって不便だなあ」「脚が不自由でかわいそう」。伊是名さんの立場を想像して、こんな声をかけてくれる人もいると聞きました。
伊是名さん自身はそうした声に感謝をしつつも、「あまりしっくりこないんですよね…」とも笑いながら言います。なぜなら、伊是名さんにとって「歩けないのは普通のこと」だから。車いすと2本足で歩くことを比較したこと自体が、そもそもないのです。
実際に車いすに乗る体験をしてみること。それは確かに「障がい者を理解するための一歩」であり、当事者としてとても嬉しいこと。
一方で「車いすの不便さを理解することが必ずしも、障がい者を理解することではない」点がむずかしいところです。全ての障がい者が皆同じような「不便さ」を感じているわけはないからかもしれません。
だからこそ伊是名さんは「一歩先の想像力」を持つことの大切さを問います。
「『相手はこう感じるだろう』というのはあくまでも自分の想像。実際の相手が感じていることは違うかもしれません。だから私は、意識的に相手の声に耳を傾けることで、相手のことを一歩深く想像しようと心がけています」伊是名さんはそう話します。
一枚の写真が教えてくれた「想像のその向こう」 安田菜津紀さん
安田菜津紀さんは、東南アジアや中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害を報道するフォトジャーナリスト。
安田さんが取材で大切にしているのは、「シャッターを切る前にまず、人の声に耳を傾けること」。背景には、東日本大震災で撮影した「奇跡の一本松」の写真にまつわる忘れられない経験があるそうです。
《震災当時、義理の両親が陸前高田に住んでいた関係で、震災後を何度も現地に訪れ写真を撮る機会を持ちました。そこで出会ったのがこの松です。もともと7万本もの松が生えていた「高田松原」で、たった一本だけ、波に耐え抜いたこの松を見た時、私は「すごい…」と感じ、夢中でシャッターを切りました。》
安田さんが撮った写真は大きな反響を呼びました。津波に耐えた松を見て勇気をもらった人もいるそうです。しかし、被災地に住んでいた義父からは、思いもよらぬ言葉がかけられ、安田さんはハッとします。
「松は希望の象徴に見えるかもしれない。けれど7万本の松と毎日毎日一緒に暮らしてきた自分にとっては、1本だけ残された松は、津波の威力を象徴する以外のなにものでもない。自分にとっては辛いものだし、できれば見たくなかった」ーー。
安田さんにとっては「被災者に寄り添った」つもりでも、義父さんにとってはその反対だったのです。
どんなに頑張っても、その人の痛みや苦しみを当事者以上に理解することはできない。しかし、安田さんはこの経験をきっかけに、想像力の「一歩先」になんとか行こうともがいてきました。
イベントでは、安田さんと伊是名さんがマイノリティや生きづらさなどの話題にも触れながら、立場の違う人をどのように理解すればいいのかを語り合います。
ファシリテーターは、ハフポスト日本版の竹下隆一郎編集長が務めます。「想像もしていないような読者」とも日々出会うネットメディアの立場から、2人に質問を投げかけます。
<注意事項>
・応募者が多い場合は抽選をさせていただきます。抽選結果は10月17日(木)までにメールにてご連絡させて頂きます。なお、応募フォームでメールアドレスの打ち間違いをされていたり、迷惑メール設定をされていると抽選結果が届かない場合がございます。ご注意ください。
・大変申し訳ございませんが、会場には車いす専用のお手洗いがございません。最寄りの車いす用のお手洗いは、会場より徒歩1分の京王井の頭線「神泉駅」にございます。必要があれば、スタッフが当日ご案内致します。あらかじめ、ご了承お願いいたします。
伊是名夏子さんが今回のイベントへの意気込みを動画で語ってくれました!
併せてご覧ください↓↓
<ゲストプロフィール>
伊是名夏子(いぜな・なつこ)
コラムニスト、1982年生。沖縄生まれ、沖縄育ち、神奈川県在住。東京新聞・中日新聞、琉球新報で連載中。 骨の弱い障害「骨形成不全症」で電動車いすを使用。身長100cm、体重20kgとコンパクト。右耳が聞こえない。ハイリスクな出産を乗り越え、6歳と4歳の子育てを、総勢10人以上のヘルパーさん、ボランティアさん、近所の方々に支えながらこなす。 早稲田大学卒業、香川大学大学院修了。アメリカ、デンマークに留学。那覇市小学校英語指導員を経て結婚。 「障害者は助けてもらうのではなく、お互いに助け合う存在」をテーマに全国で講演。ファッションショーや舞台でも活躍中。 好きなことは、パンダ、体と環境にいいこと、性教育。
安田菜津紀(やすだ・なつき)
1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。