「人の命か経済か」はナンセンス、クオモ知事のコロナ対策

「金持ちとは、健康な人のことである」──。不安を抱える人々にクオモ氏はイタリアのことわざを贈った。
ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ氏
ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ氏
時事通信社

ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ氏の記者会見は、日本でも放送されているので見た事がある人も多いと思う。トランプ大統領の新型コロナウイルス対策が激しく非難されている今、アメリカ人の多くは大統領の会見ではなく、クオモの会見を見ている。

先日、彼がニューヨークタイムズ紙のPodcast “The Daily” のインタビューで興味深いことを語っていた。新型コロナの影響で職や家を失った人など、経済的な影響に不安を抱えている人たちに何かメッセージはあるかという問いに関して、クオモ氏はイタリアのことわざを紹介しつつ、こう言った(彼はイタリア系アメリカ人)。

「金持ちとは、健康な人のことである」というイタリアのことわざがある。あなたが健康ならば、どんな問題でも解決策を見出すことができる。生きてさえいれば、後の問題は何とでもなる。まずは、生き抜かなければいけない。

そして同じ頃、彼はツイッターにもこう書いた。

私の母は消耗品ではない。あなたのお母さんも消耗品ではない。人間の命はお金で計算することはできない。経済的な戦略と一致する公衆衛生戦略を立てることができる。

クオモ氏は「人の命か経済か」という選択はナンセンスで、「どちらも大切である」というスタンスを取り続けている。経済的な影響への不安から、新型コロナ対策を怠ったと非難されているトランプ大統領や彼の支持者の態度とは対照的だ。事実を隠さず、現実と正直に向き合いながらもリーダーシップを発揮する彼の会見は、パンデミックに苦しむ多くの人々に希望を与えていると思う。

(2020年4月8日の佐藤由美子の音楽療法日記掲載記事「『人の命か経済か』はナンセンス、クオモ知事のコロナ対策」から転載。)

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