自傷行為をしながら何者かに刺されたと偽った男性のウソを、警察がApple Watchの心拍数記録を手がかりの1つとして見破った話が報じられています。米ミシガン州のFox系列局によると、ショーン・サミットなる男性はウエスト・ブルームフィールド郡区のシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)に雇用されていました。病院で刺し傷の治療を受けたサミットは当初、反ユダヤ主義の声明を叫ぶ男に会堂外の駐車場で刺されたと主張したとのことです。
しかし警察は、ショーンの負傷が自傷行為ではないかと疑いを抱き、通りの向かい側の民家に設置された監視カメラの映像から暴行がなかった事実を確認しました。
その後、サミットは襲撃を偽ったことを認め、食器を洗っている間に意識を失って間違って自分を刺してしまったと証言を一転。職場での嫌がらせのせいでウソをついたと述べたものの、警察はこれも怪しんだとのことです。
さらに警察がサミットのApple WatchとiPhoneの健康履歴を調べたところ、彼の心拍数は負傷したとされる時間中ではなく、その前に上昇していることを確認。そこから意識を失っていなかったことが証明されたと伝えられています。
この証拠を突きつけられ、ついにサミットは真実を告白し「自分にナイフを刺してみて、どれだけ深く刺さったかを確認しました。これで十分か確信が持てなかったので、その過程でもう少し深く刺したと思います」と取り調べで語ったとされています。本当の動機はシナゴーグとの契約を辞めたかったからであり、実際に「襲撃」の翌日に辞職していたとのことです。
ユーザー本人の心や行いと密接につながっている心拍数は、監視カメラが捉えられない現場の真実を捉えているもの。かといって犯行前に不自然にApple Watchを外していれば、それはそれで警察に疑いの目を向けられそうです。
(2020年1月5日 Engadget 日本版「Apple Watchは見ていた?警察が心拍数履歴から「襲撃」のウソを見破る」より転載)