アメリカの雑誌タイムの「今年の人(パーソン・オブ・ザ・イヤー)」候補となったケイトリン・ジェンナーへのインタビューは、多くの人の注目を集めた。それを受けて組まれた特集記事は、事実を明確にして大きな反響を呼んだ。
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特集記事「アイ・アム・ケイト」のエピソードの冒頭の場面はこう始まる。午前4時半、私は心配で寝られずにいた。「上手くいきますように」と。
6カ月前に「本当の私」を告白してから、社会を良い方向に導くため力になりたいと思い活動してきました。その中で、多くのトランスジェンダー・コミュニティの人々に会い、話を聞いてきました。アフリカ系アメリカ人のトランスジェンダーの女性から、自らの命を絶ったトランスジェンダーの子供を持つ親たち、そして、トランスジェンダーの人たちにとって社会が住みやすいものになるように法廷や議会で奮闘している人たちやメディアに携わる人たちまで、実にさまざまです。多くのストーリーを聞きました。このめまぐるしかった1年が終わろうとしている今ですらも、まだまだ学び足りないと感じています。
もう少しうまくやれたことがあるのは事実です。理由はいくつかあります。この(トランスジェンダーが社会できちんと受け入れられていないという)問題について、私もまだ勉強途中だという点。私にとっては正義でも、トランスジェンダーのコミュニティの人たちの中には、私と同じように感じない人もいるという点。また、(私の表現が足りず)意図したことと異なる伝わり方をしてしまった発言があるという点です。
メディアが私の発言の一部だけを切り取って、文脈や意図を無視した解釈を報道してしまうこともあります。
タイム誌の記事が掲載されて、多くの人に私の犯した間違いを指摘されました。私は初め、とても傷つきました。私が大きな心を持っていることを、そして悪意のかけらもないことを、もっと高く評価して欲しいと思いました。でも、何度も考えて、たしかに私は間違っていたのかもしれないと思い始めました。もっと自分自身の感じていることをわかりやすく、はっきりと表現する必要があったのです。
インタビューの発言に多くの注目が集まりました。私にとって、自分の外見は大切なもので、人々は「ドレスを着た男」を目の当たりにすると居心地悪く感じてしまうかもしれないけれど、もっと"普通のこと"として捉えてくれたら、と発言したことです。
この発言の意図がちゃんと伝わらなくて、たくさんの人を傷つけてしまいました。本当に申し訳なく思っています。
私が言いたかったことは、この社会はとても不公平だということです。外見からトランスジェンダーだとわかる人々は、社会から受け入れられず、時にひどい扱いを受けるのは事実です。それを変える必要があると思うのです。
(心と体の)性別が一致していないように見える人たちもいますが、彼らは意図的にそうなのです。社会が求めることに、無理やり自分を当てはめたくないのです。誰もが、自分の望むままの格好をし、自分を表現する権利を持っています。
もちろん、人によっては、本当の自分になるために必要な、医療を受けられるわけではありません。ほとんどの医療保険は、そんな施術や手術を保障してくれないのです。私の兄弟や姉妹となるような、そんな人たちのために、私は闘い続けたいと思います。
メディアは、私がファッションやメイクといった外見だけを気にしているように報道したように思います。私がそういったことを楽しんでいるのは事実です。それが私です。もちろんメディアの世界にいる人間として、私が自分自身に望むこともあります。
でも、私はただの人間です。トランスジェンダーといっても、数多くの違うかたちがあります。私は、すべての人が、ありのままに自分のジェンダーを表現できる社会を実現したいのです。外見によって、トランスジェンダーの人びとが差別されない、ひどい扱いを受けない社会を。
私はこれからも間違ったことを言うかもしれません。それでも私が約束したいのは、学び続けることです。もっとはっきりと間違いなく発言できるよう努力を続けることです。学ばなければいけないことは山ほどあります。私はそんな困難を、みなさんと一緒に進んでいくことを楽しみにしています。
トランスジェンダーにまつわる取り組みの詳細は、CaitlynJenner.comをご覧ください。
このブログはハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。