「女性差別の認定にほかならない」聖マリアンナ医大に元受験生への賠償支払い命じる【東京地裁】

判決は、得点が低く設定されたことについて「女性という性別を有する者を差別するものであり、その違法性は顕著」と断じた
聖マリアンナ医科大学病院
聖マリアンナ医科大学病院
時事通信社

「性別を理由に差別された」として、元受験生の女性4人が聖マリアンナ医科大学(神奈川県川崎市)を訴えていた裁判で、東京地裁(新谷祐子裁判長)は12月25日、大学側に4人合計で約285万円の支払いを賠償を命じる判決を言い渡した。

判決では、性別を理由に得点が低く設定されたことについて、「合理的理由なく、女性という性別を有する者を差別するものであり、その違法性は顕著である」としている。 

判決を受け、元受験生の弁護団は「得点調整を女性差別と明確に示した点で、東京医大の事件や順天堂の事件と比較して、一歩進んだ判断であり評価できる」と声明で発表した。

訴えていたのは、2015~18年度の入試を受けた女性4人。同大学に対し、慰謝料や受験料、受験にかかった宿泊費など計約3284万円の損害賠償支払いを求めていた。

判決を受け、原告の一人は「今後このような差別が教育機関で繰り返されないことを願います。受験生が知らぬ所で受けていた差別はとても容認できるものではなく悪であるということを、本件を通して広く認知されるきっかけになってほしい」とコメントした。

弁護団も「全ての女性受験生が、合理性を欠く差別を受けない利益を侵害されたと認定されている。これは、女性差別を受けたとの認定にほかならない」「この判決をひとつのきっかけとして、 教育における女性差別が撤廃されることを期待している」と述べた。

この問題を巡っては、大学側の第三者委員会が2019年、「女性や浪人生を一律に差別していた」とする調査報告書を公表。

一方、聖マリアンナ医科大学は「性別などの属性による差別の認識はない」という見解を示して不正を否定。

その一方で、申し出があった受験生には入学検定料相当額を返還するとしていた。

医学部入試で女性や浪人生を不利に扱う問題は、2018年に東京医科大学で不正が行われていたことが発覚し、文部科学省は計10大学で、性別や浪人回数などによる差別があったと認定。

これまでに、東京医科大や順天堂大が性別を理由に得点調整をしたり、異なる合格判定基準を定めたりしたことを認めており、賠償金の支払いが命じられている。

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