プーチン大統領も認めた、ロシアのワールドカップ応援グッズはこれだ。

今夜ロシアはスペインと対戦するが、客席にも注目したい
ロシア対サウジアラビア戦のスタジアムで応援するロシアのサポーターたち=6月14日、モスクワ
ロシア対サウジアラビア戦のスタジアムで応援するロシアのサポーターたち=6月14日、モスクワ
Ian MacNicol via Getty Images

サッカー・ワールドカップ(W杯)は決勝トーナメントが始まり、ますます盛り上がりをみせている。特に開催国ロシアは1次リーグ初戦から大量得点で見せ場をつくるなど、ロシア人サポーターの熱気は高まる一方だ。

そんなサポーターたちに使ってもらおうと、W杯公認の応援グッズが作られていた。「勝利のスプーン」と呼ばれる楽器で、ロシアの伝統的な楽器からヒントを得ている。プーチン大統領「肝いり」のプロジェクトでもあったが、これまでの3試合でサポーターたちが手にしているシーンはあまり見られなかった。

ロシアは7月1日午後11時(日本時間)からスペインと対戦するが、勝利のスプーンの「出番」はあるのか。

勝利のスプーンは、2つのプラスチックや木で作られたスプーンが背中合わせで当たって音が出る形。根元でつながっており、横から見ると英語の「Victory」(勝利)の頭文字「V」の形になっている。

カスタネットのように、手でたたいたり、足に当てたりして音を出す。「スプーンは、ロシアとの文化的な結びつきがあるほか、かなり使いやすい」。勝利のスプーンを制作したルスタム・ヌグマーノフさんはそう自信をのぞかせた。

ルスタム・ヌグマーノスさん
ルスタム・ヌグマーノスさん
Tatyana Makeyeva / Reuters

ロシアでは「ローシキ」(ロシア語で「スプーン」の意味)という民族楽器が有名だ。少なくとも13世紀ごろから使われていたとみられ、両手で計3~5つのスプーンを持ってたたいたり、こすったりして音を出す。

ヌグマーノフさんはこの伝統的な楽器に注目し、国に公式楽器として制作することを提案。2018年2月、「全国民的に役立つ創造的な計画」の1つとしてプーチン大統領も支援を約束。補助金として100万ルーブル(約180万円)をヌグマーノフさんに提供した。

ヌグマーノフさんは勝利のスプーン構想を、ロシアが2010年にW杯開催を射止めた直後から温めてきた。ロシアの民族楽器のうち30程度の候補を検討。「うるさすぎず、手軽に持ち運べる」などの観点から最終的にスプーンにしたという。

特に気をつけたのは、「うるさすぎない」という点だ。W杯の応援グッズとしては、南アフリカ大会(2010年)で登場した「ブブゼラ」が有名だが、非常に大きな音が出るため一時的な難聴を訴える人が出たり、テレビの視聴者から騒音苦情が寄せられたりするなどで、問題となったからだ。

W杯南アフリカ大会の開会式で、ブブゼラを吹く南アフリカのサポーターたち=2010年
W杯南アフリカ大会の開会式で、ブブゼラを吹く南アフリカのサポーターたち=2010年
Mike Egerton - EMPICS via Getty Images

だが、今のところ、スタジアムで勝利のスプーンを手に応援するロシア人のサポーターをみかけることはほとんどない。生産の遅れで商品が品薄だの情報もあるが、定かではない。ロシア戦では勝敗の行方とともに、勝利のスプーンの存在感の有無も気になるところだ。

W杯の応援グッズ

W杯の応援グッズとして最も有名なのは、2010年の南アフリカ大会で知られるようになったブブゼラだ。南アフリカの伝統楽器で音が特徴的だが、一方で、大勢の人が一斉に吹くと、人の声をかき消したり、難聴になったりするほどの大きな音で、騒音問題としても知られるようになった。

2014年にブラジルで開かれたときの大会公認楽器は「カシローラ」だった。ポットのような形をしており、両手に持って振ると音がなる。マラカスのようなものだ。

カシローラをPRするルセフ大統領(当時)=2013年4月
カシローラをPRするルセフ大統領(当時)=2013年4月
Ueslei Marcelino / Reuters

このカシローラに対抗するように登場したのが、「ディアボリカ」という楽器だ。折りたたみ式の携帯ラッパで、ベルギーの起業家が制作。大会公認ではなかったものの、使いやすさから広まった。

ディアボリカ
ディアボリカ
Francois Lenoir / Reuters

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