サッカー女子ワールドカップでの選手へのキスが批判されていたスペインサッカー連盟のルイス・ルビアレス会長は8月25日、「キスは同意のもとだった」と主張し、辞任しない意向をを示した。
これに対し、キスされたジェニファー・エルモソ選手は「同意はなかった」と反論。
約80人のスペイン選手がルビアレス氏に抗議し、会長職に留まり続けるなら代表チームでプレーしないと宣言した。
「同意はあった」という会長主張に反論
ルビアレス会長は8月20日、スペインが優勝したワールドカップ決勝の授賞式で、エルモソ選手の頭を両手でつかみキスした。
しかしAP通信によると、ルビアレス氏は25日にマドリードで開かれた緊急会議で、「エルモソ選手が自分を抱き上げたため『軽いキスを?』と尋ねたところ『OK』という返事だった」と説明し「キスは同意のもとに行われた」と主張。
さらに「自分は偽のフェミニストたちによる魔女狩りの犠牲者だ」とも訴えて、会長職に留まる意向を示した。
この主張に対し、エルモソ選手はスペイン女子選手が加入する選手会「FUTPRO」の声明で、キスに同意していないと否定した。
「動画を見てわかるように、キスに同意していません。もちろん、会長を持ち上げようとしてもいません。私の言葉を信じないことは許容できませんし、言っていないことを勝手に作り上げるのはもっと許せません」とエルモソ選手はコメントしている。
さらに、FUTPROは「現在の会長が留まるのであればこの声明に署名したすべての選手が代表チームでプレーしない」と宣言。
声明にはエルモソ選手と22人のワールドカップ優勝選手に加えて、58人のスペインのサッカー選手が署名している。
ルビアレス氏は頑なに辞任しない意向を示しているものの、スペインのスポーツ高等審議会の会長を務めるビクトル・フランコス会長は25日、ルビアレス氏をスポーツ行政裁判所に訴える手続きを始めると明らかにした。
BBCによると、フランコス会長は「裁判所で有罪と判断された場合はルビアレス氏を停職処分にする」と述べている。
また、FIFAの懲戒委員会は8月24日、ルビアレス氏に対する懲戒手続きを開始したと発表した。