サッカー女子ワールドカップで優勝したスペインの選手に、同国サッカー連盟のルイス・ルビアレス会長がキスをして物議を醸している。
スペイン代表は8月20日にオーストラリア・シドニーで行われたイングランドとの決勝を1-0の僅差で制し、ワールドカップ初優勝を果たした。
CNNなどによると、ルビアレス会長は試合後の授賞式で選手たちがステージに上がった際、ミッドフィルダーのジェニファー・エルモソ選手を感極まった様子でハグした後、両手で頭をつかみ唇にキスをした。
その様子が報じられると、SNS上には「許されない行為」「不適切」「男性の選手にも同じようにキスするのか」など批判が投稿された。
スウェーデンのヘドヴィグ・リンダール選手も「非常に憂慮すべきことです。女性を祝い、尊重し、女子の試合の喜びをわかちあう1カ月の最後に、こんなことをされるとは。この行為は私たち女子サッカーの価値観から程遠いもので、許容できません」と投稿している。
また、ルビアレス会長がエルモソ選手以外の選手の頬にキスする写真も捉えられた。
エルモソ選手はその後、ルビアレス会長からのキスについて「嫌だった!」とインスタライブで述べたという。
ニューヨークタイムズによると、ルビアレス会長はその後選手たちのロッカールームを訪れて「優勝の報賞としてイビサ島への旅行が贈られる」と伝えた時に、「自分とエルモソ選手との『結婚式』を祝う機会があるだろう」と述べた。同メディアは、キスに関連した冗談ではないかと報じている。
また、ルビアレス会長はラジオ番組で授賞式での行為について聞かれ、「2人の人間がお互いにただ愛情を表現しているだけだ。愚かな(批判)発言は無視すべき」と答えたという。
一方、AFP通信によると、ルビアレス会長の行為が問題になった後、エルモソ選手はスペインサッカー連盟を通して公式の声明を発表。「ワールドカップに優勝した大きな喜びから自然に湧き起こった仕草だった」と述べた。
「会長と私の関係はとても良いものです。彼の私たち全員に対する振る舞いは素晴らしいもので、自然な愛情と感謝の行動でした」
「友情と感謝の気持ちから出た行動を、そこまで深く掘り下げる必要はありません。私たちはワールドカップに優勝したのです。重要なことから逸れる必要はありません」
最終的に謝罪
自らの行為を「大したことではない」「愚かな発言は無視すべき」としたルビアレス会長だったが、21日にスペインのミケル・イセタ文化・スポーツ相がラジオ局RNEで「容認できない行為」と発言した後に謝罪した。
「悪意や不誠実な意図は全くなく、とても自然な形で起きたことでした。どちらの側にも悪意はありませんでした」
「ここでは、自然で普通のことですが外では問題になりました。人々を傷つけたことについて、私は謝罪しなければなりません。他に選択肢はありません。私は今回の出来事から学び、重要な機関の会長として、特に式典などでもっと注意深くすべきことを自覚せねばなりません」
【UPDATE 2023/08/23 14:40】
ルビアレス会長の謝罪を追記しました。