ウクライナ侵攻を批判して日本政府がロシアに経済制裁を発動する中で、ロシア製ロケットから日の丸が削除された。ロシア国営宇宙機関「ロスコスモス」のドミトリー・ロゴージン長官が日本時間3月3日、公式Twitterに動画をアップした。
■「いくつかの国の旗がなければ、より美しく見えるだろう」と動画を投稿
この動画にはカザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地の発射台にあるソユーズロケットに張られていた日本、イギリス、アメリカの国旗を作業員が白いシートで覆い隠す様子が映し出されている。
ロゴージン長官は動画に合わせて「バイコヌールの発射装置にある私たちのロケットは、いくつかの国の旗がなければ、より美しく見えるだろうと判断しました」というメッセージを掲載している。
動画では国旗を隠す作業が続いているが、残るインド、フランス、韓国の国旗がどうなったのかは定かではない。
■ソフトバンクなどが出資する企業の通信衛星打ち上げ用ロケットだった
このロケットはアメリカ企業「ワンウェブ」の通信衛星を打ち上げるためのものだ。各国の国旗の中央には会社のロゴマークが描かれている。
同社のサイトによると、ワンウェブはイギリス政府とインドの通信企業「バーティ・グローバル」に2020年に買収された。その後、ユーテルサット(フランス)、ソフトバンク(日本)、ヒューズネットワークグループ(米国)、ハンファ(韓国)から出資を受けているという。
ロケットに張られていた6カ国の旗は同社の出資元を示すものだった。3月2日の国連総会でのロシア非難決議では、棄権したインドを除く5カ国が賛成していた。
■「イギリス政府が株式を売却しない限り打ち上げない」とロゴージン長官
Spaceflight Nowによるとロケットの打ち上げは3月4日を予定しており、すでに発射台に移動しているが、ウクライナ侵攻をめぐって世界各国が批判を強める中で「ロスコスモス」は強硬姿勢を強めている。
ロゴージン長官は「イギリス政府が株式を売却し、ワンウェブの衛星が軍事目的で使用しないことを保証しない限り、ロケットを打ち上げない」と3月2日に述べたとCnetは報じている。
プーチン政権で副首相を務めたこともあるロゴージン長官は、各国への挑発的な発言をすることで知られている。
ウクライナ侵攻が始まった2月24日には、欧米諸国に対して「あなた方がわれわれとの協力を拒むのなら、国際宇宙ステーションが制御不能になって欧米に落下するのを誰が防ぐのか」と脅すようなツイートをしていた。