「最強の殺し屋」が一般人として普通の生活をするーー。「ヤングマガジン」で連載中の人気漫画「ザ・ファブル」(南勝久原作)の実写映画版が6月21日(金)、全国公開を迎える。
主人公・ファブルと対峙するフード役で出演を務めた福士蒼汰さんは、その爽やかなイメージを覆すような”悪役”を好演した。
意外にも、「いい人じゃない役の方が楽しい」と語る福士さん。2018年末には「遅ればせながら、時代に合わせて」Instagramも始めた、とも笑う。福士さんに単独インタビューした。
イメージを覆すような「悪役」
ーー『ザ・ファブル』では、福士さんのイメージを覆すような”殺し屋”役を演じています。意識されたことはありますか?
フードは、原作を読んでもいまいち掴みどころがなかったんです。
ただ、同じ殺し屋という立場として、映画のラストでファブルと闘うことになるので、ファブルと「対極」にいる存在であるべきかなと思って、それを見せることを意識しました。
ファブルは殺し屋としてのプロ意識が高く、しっかり仕事を全うするような存在です。それに対して、フードはあまり仕事やプロ意識に重きを置いていない存在というか...気楽で楽観的で、ゲーム感覚で殺しをしているようなキャラクターだと思います。
江口カン監督とは、「殺し屋感は出さないようにしよう」とか、「大学生のサークルのノリでいこう」という話をしていました。
ーー今回のフードのような悪役は、恋愛・青春モノの”好青年”のイメージとも対極にあると思います。今の心境として、どちらがやっていて楽しい、などはありますか?
ジャンルは関係なく、やっていて楽しいのは、あんまり「いい人」じゃない役です。(笑)
ただの「いい人」だとつまらない部分もある。それに、演じることも難しいですし。
いい人の方が制限がたくさんあって、やっちゃいけないこと、守らなきゃいけないものがたくさんあります。”悪役”はそれがない。お芝居として「何でもできてしまう」というのが悪者の特権でもあるので、やっていて楽しいです。
ーー岡田准一さんとのアクションシーンはいかがでしたか。
大変でした。岡田さんが素晴らしい技術を持っていて、素晴らしいアクションをされるので、自分はそれに食らいついていくことに必死でした。
自分はジークンドー(ブルース・リーが創始した武術)とカリ(フィリピン武術)、USA修斗(初代タイガーマスク・佐山聡が作った総合格闘技流派)をやっているんですが、近距離の銃撃戦のアクションはやったことがなかったので、難しい部分もありました。
大事なのは、モチベーションを維持すること
ーー日本は平成が終わり、令和の時代に入りました。新しい時代への意気込み、などはありますか...?
身の回りでの変化みたいなものはまったく感じていません。
「令和になったからよし頑張ろう」と、元号が変わったことを何かのきっかけとしてとらえることもできますが、自分の場合はちょっと違っていて。
新しい時代に入っても、「相変わらずやってるね」と言ってもらえるために、今やっていることをどれだけできるか、継続できるかということが大事だと思っています。
ーー福士さんは英語や格闘技など、ストイックに継続されていますよね。自分がやりたいことを継続させるために大事なことは何でしょうか。
モチベーションを維持することだと思います。
チャレンジしていることはたくさんあるんですが、根本にあるのはモチベーションです。「やってやるぞ」という気持ちを常に持つようにする。大変ですけど、必要なことじゃないかと思います。
そのために、熱中したい事柄とうまく距離感を持つことが大事です。近くにいる時、遠くにいる時、そのバランスを自分の中でうまく作れるといいんじゃないかな、と思います。
お芝居もそうなんですが、一つのことにずっと集中して煮詰まった状態にはならないようにした方がいいとも思うんです。違うことも大事にした方がいいですし、自分の世界を広く持つようにすることは意識しています。
『ザ・ファブル』
2019年6月21日(金)全国公開
配給:松竹