もしかして「睡眠障害」? ちゃんと寝てるのに疲れがとれない…は老化の始まり? 朝スッキリ目覚める方法をアンチエイジングのプロに聞く!

「疲労」は2種類に大別されます。種類によって、その時有効な疲れの対処法が変わります。

この記事は2018年12月16日Suit-Woman.jp掲載記事「もしかして「睡眠障害」?ちゃんと寝てるのに疲れがとれない...は老化の始まり?朝スッキリ目覚める方法をアンチエイジングのプロに聞く!」より転載したものを元に加筆・修正したものです。

質問「20代の頃は忙しくても寝れば元気になれたのに、最近はちゃんと寝ていても全然疲れが取れません。朝、スッキリ目覚めるには、何を変えたらいいですか?」(32歳・営業)

疲れているのは体? 脳?

そもそも「疲れ」とは何なのでしょうか?「疲れ」つまり「疲労」は、カラダとアタマを守るための機構として、2種類に大別されます。

ひとつはカラダの疲労、運動などによる肉体的な疲労「末梢性疲労」、もうひとつは肉体的な限界に至る前に感じられる疲労「中枢性疲労」です。

この2種類の疲れは表裏一体の関係にありますが、『今、自分がどちらの疲れを強く感じているのか』を自覚することで、その時有効な疲れの対処法が変わります。疲れを感じた時、まずこの2種類を意識するようにしましょう。

末梢性疲労は「筋疲労」と「末梢神経性疲労」に大別されます。これらの疲労現象は、筋肉に存在するグリコーゲンなどのエネルギー源の枯渇、血液の恒常性の失調(一時的な血流不全など)、調整機能失調(神経筋伝達の遅延)などによって、筋が発揮できる力が減り、俊敏性や巧緻性も低下し、パフォーマンスが低下します。

筋疲労に引き続いて起こる筋肉痛は、運動中に生じた筋肉の損傷後の炎症に伴う機械的刺激や化学的刺激によって起こり、さらにパフォーマンスが低下します。一方、末梢性疲労は炎症の収束とともに回復するのが特徴。十分な休息と栄養を取ることが、末梢性疲労を解消するカギになります。

ココロの疲れはどう癒せばいい?

一方、中枢性疲労は精神的(ココロ)な疲れで、「痛い」「寒い」などの"感覚"に近いものと言えます。疲労の度合いはカラダやアタマを酷使する「量」と比例せず、「心理的な疲れ」であることを考えると、理解しやすいとでしょう。

例えば、スポーツでカラダを酷使した後であっても心地よさを感じることがありますよね。一方、カラダは酷使していないのに長時間続く会議など、ストレスや緊張状態が続くことで、ぐったり疲れてしまうことがあります。このように「ストレスの感じ方」が中枢性疲労には重要になってきます。

ストレスの処理は主に脳の「前頭前野」と呼ばれる場所で行われ、ここの処理能力はその日の体調やコンディションに影響を受けます。日によって疲れ方が異なるのは、前頭前野のこの「ストレスのフィルター」としての能力が関係しているのですね。この処理がうまくいかないと、強い疲労や過労死などを生む原因となるのです。

逆に、このフィルターを意識して鍛えることで中枢性疲労を改善することができるのです。では、「前頭前野」を鍛えるにはどうしたらいいと思いますか。

寝ても疲れがとれない要因は「酸化ストレス」

前頭前野で処理されたストレス刺激が脳内で大きくなると、脳の活動が活発になり脳の酸素消費量が増大します。そして、酸素がたくさん使われた後には、その副産物として大量の活性酸素、つまり酸化ストレスが産生されます。

通常は酸化ストレスから細胞を守るシステムが働き、活性酸素は除去されますが、処理しきれないほどの酸化ストレスが産生されると、細胞がダメージを受け機能不全に陥ってしまいます。このダメージやストレス負荷が脳の各部位に伝わることで、疲れやだるさを感じたりカラダに異常が生じるのです。

具体的に説明していきましょう。

前頭前野では、作業効率が落ちる、やる気がなくなる、寝られないなどの症状が現れます。これは疲労感を増悪させ、さらにストレスがかかるという負の連鎖に陥ります。

疲労や精神的ストレスは脳内で活性酸素などの酸化ストレスを生む。酸化ストレスを解消するために免疫細胞から「インターフェロン」などの免疫物質が分泌されるが、これは「セロトニン」の分泌も阻害し、疲労感に拍車がかかる。

休息しても疲れがとれないときには「栄養」不足を疑え

疲れを取るには「休息」と「栄養」が必要です。しっかり寝ているのに疲れが取れない、朝スッキリ目覚められないというときには、まずは栄養不足を疑ってみてください。体に必要な栄養素は十分足りていると思っても、脳の疲労回復には不足しているということは、実際に多いのです。

まずはタンパク質。タンパク質は体をつくる栄養素ですから、疲れたときには多めにとりましょう。炭水化物、つまり糖分の取りすぎは禁物です。

摂取する炭水化物とタンパク質の理想バランスは、100gに対し、淡水化物(糖質)が75g、タンパク質が25gです。これはどのくらいの量だと思いますか?

おにぎりで考えてみましょう。

おにぎり1つを最適な栄養割合で取るには?

ご飯:110g(エネルギー=165kcal、タンパク質:糖質=1:12 3g:36g)

  • 具(たらこ):10g(タンパク質:糖質=4g0g
  • 具(しゃけ):10g(タンパク質:糖質=3g0g
  • 具(ツナマヨ):10g(タンパク質:糖質=2g0g

おにぎりの具をそのまま残すと仮定すると、タンパク質5gに対し糖質20gになります。そして、おにぎりの糖質を16g取り除くには、約半分のご飯を取り除く必要があります。

正三角形のおにぎりの一辺が7cmと考えると、すべての角を一辺3cmの正三角形サイズで切り取ると、最適なタンパク質:糖質比となります。買ったおにぎりの約半分のサイズになります。

このおにぎりを2個とることで、最適なバランスで糖分・タンパク質を取ることができます。また、タンパク質の満腹効果により、普通サイズのおにぎり1個より満腹感が得られるので、健全なダイエットとしてもよさそうです。とはいえ、自分でそのサイズのおにぎりを作って持っていけるとベストですね。

疲れると、甘いもの(糖質)が無償にほしくなったりしますが、実は、糖質をとりすぎると余計疲れやすくなるのです。本当に体に不足していれば補う必要がありますが、「疲れた=甘いもの」という考えからくる食欲の場合、疲れは取れず、ただ太るだけとなってしまいます。

また、ビタミンC ビタミンE、ポリフェノールも頭の疲れを引き起こす酸化ストレスのケアに必要です。

そして、不足するセロトニンも補いましょう。サプリでもいいですし、野菜なら、生のほうれん草、バナナ、アボカドなどです。

メラトニンサプリを利用するのもひとつの手段です。アメリカでは、必要な栄養素はサプリで摂取して、好きなものを食べるという文化が浸透しています。不足分を食べ物で取ろうとすると、おのずと摂取カロリーが増え、「ぐっすり寝られるようにはなったが、太った」という残念な結果に陥ることも。ライフスタイルにサプリも賢く取り入れて、好きなものを食べながら、酸化ストレスを減らしていってみてください。

まとめ

眠っても疲れが取れないのは、「栄養」不足が原因かもしれません。タンパク質、ビタミンC ビタミンE、ポリフェノールで酸化ストレスに対抗しましょう。