東京電力福島第一原発の「処理水」の海洋放出が始まった後、福島県の魚を食べて応援しようという機運が高まっている。
太平洋に面するいわき市では「ふるさと納税」の申し込みが急増しており、1日当たりの寄付件数は放出決定前と比べて約8倍に上っているという。
このような応援は国内にとどまらない。
駐日オーストラリア大使も、「福島の魚を使ったフィッシュ&チップスをオーストラリア大使館で」という動画をXに投稿。
7万を超える「いいね」がつくなど、話題を呼んでいる。
常磐もの「ヒラメ」をフィッシュ&チップスで
ジャスティン・ヘイハースト駐日オーストラリア大使(@AusAmbJPN)は9月5日、Xに動画を投稿した。
動画は、大使館関係者が「食べて応援します」と、声を合わせて呼びかける場面から始まる。
その後、ジャスティン大使が「今日は大使館で福島の魚を使ってフィッシュ&チップスを食べてます。オーストラリア人は、フィッシュ&チップスが大好きです」と説明した。
フィッシュ&チップスとは、魚のフライにフライドポテトを添えたもので、オーストラリアなどで人気を集める料理。
大きなヒラメを持つコックも動画に登場し、「新鮮な福島のヒラメがぴったりです」と紹介していることから、今回はヒラメのフライを作ったようだ。
このほか、「オーストラリア大使館ではこれからも福島県産の食材を使っていきます」「福島の魚は安全です」「うまい」といった言葉を盛り込んだ。
この動画を載せたジャスティン大使の投稿は7日現在、1.4万リポスト、7.3万「いいね」などと話題を呼んでおり、「感謝」「とても嬉しい」「私も食べて応援します」といったコメントであふれた。
エリアス公使らも福島産品の買い物に
また、オーストラリア大使館(@AustraliaInJPN)は8月30日にも、福島に関連する別の動画をアップしている。
同大使館のエリアス政務担当公使とウイルソン参事官が、福島県のアンテナショップ「日本橋ふくしま館MIDETTE」(東京都中央区)に買い物に出かけたという内容だ。
エリアス公使は青色の買い物かごを持った後、店頭に置かれていたモモの匂いをかぎ、「福島といえばモモですね」と笑顔。
ウイルソン参事官も「福島のジャムもおいしそうですね」と話し、2人は次々に買い物かごに商品を入れていった。
そして、「オーストラリアは福島と強い関係を持っています。これからも福島を応援します」と締めくくっていた。
処理水の海洋放出をめぐっては、中国政府が日本産の水産物の輸入を全面的に停止した。
一方、アメリカやカナダ、スペイン、オーストラリア、イタリアなど数多くの国が、「処理水放出は科学的根拠に基づいている」などと声明を発表している。
岸田文雄首相も6日、インドネシアで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議で、「中国は日本産水産物の輸入を一時停止するなど突出した行動をとっている」と指摘した。
処理水に関する基礎知識や福島第一原発近海のモニタリング結果などは、経済産業省の特設ウェブサイトで確認できる。