シトウレイさん「見たことがないような着こなしを見るとすごく感動する」Lenet FUN! MY STYLE

1+1=2ではなく、1+1=8になる

日本を代表するストリートスタイルフォトグラファーとして、世界各地でストリートスナップを撮っているシトウレイさん。世界各国のファッション感度の高い人たちのスタイルや最新トレンドなどを、ご自身が主宰する『STYLE from TOKYO』で紹介しています。そんなシトウさんに、洋服やファッションに対して思っていることや、世界のなかでも一番面白いという東京のトレンド、大好きな靴磨きのことまで、たっぷりとお話をうかがいました。

中島のりゆき

難易度の高い服を着こなそうとすることでセンスのレベルを高める

洋服を選ぶときは、とにかく面白いものや今まで着たことのないものにチャレンジすることを大切にしています。

たとえその服の合わせ方がわからなくても、とりあえず買うということを大事にしているんです。買うと、もったいないからなんとか着こなそうとするじゃないですか。

そうやって試行錯誤するときに、センスがレベルアップするなと思っているので、筋トレのようにレベルの高い服にチャレンジしています。

自分のスタイルを自分でつくれる人を撮りたい

中島のりゆき

ストリートスナップを撮り続けているうちに、よりファッションや服が好きになりました。

見たことがないような着こなしを見るとすごく感動するんですよね。「こんな着方があったんだ!」って。そのインスピレーションや才能に影響されて、服がもっともっと好きになりましたね。

服と調和した人や、その人のキャラクターに合った服を着ている人は、1+1=2ではなく、1+1=8になるぐらい美しく見える。逆に調和してないと、1+1=0.5になっちゃう人もいるんです。

ファッションを楽しんでいる人、自分のスタイルを自分自身でつくれる人、かつ、それを更新していける人は撮りたくなりますね。

トレンドの服をそのまま着るのではなく、自分なりに噛み砕いて消化して、自分のテイストを加えたうえで服を着る人は、すごく尊敬しています。

特にパリコレはファッションの天下一武道会みたいなものだから、みんなすごくおしゃれしてやって来るんです。みんなが楽しそうに「見てみて!」っていう感じでラブリーだから撮っちゃいますね。

特に最近感動したのは、パリでChloeのショーに行く途中に撮った女性の着こなし。ふわふわなブロンドの髪の女性で、ベルベットやグレーから紫色にかけるグラデーションがすごく美しくて記憶に残ったので、『STYLE from TOKYO』にも載せました。

東京の大人女子の最新トレンドが面白い

世界のいろんな都市でストリートスナップを撮っていますが、最近は東京が面白いですね。特に大人女子たちの間で新しい価値観が出てきたなと感じています。

それまで大人女子は「大人かわいい」のトレンドがあったけど、それが無くなって、数年間宙ぶらりんだったんです。

ところが、今、ファッショニスタでおしゃれな人たちの間で「大人セクシー」というのが現れました。

しかも、そのセクシーの対象が男性ではなく自分自身に向かってるのが特徴的。

セクシーではあるけど、男の人を惹きつけるためのものではなくて、自分をより良く見せるために、体型にフィットした着こなしをするスタイルです。

例えば、襟を抜くのもそうだし、スリットが深いスカートを着るのもそう。デコルテをグッと見せても、セクシーだけどいやらしくない。

大人になって体型も変わってきて、デコルテが美しくなってきたからこそ見せられるものを、30代後半で感度の高い人たちが強めに押し出してきたのが特徴だと思います。

顔を見て服を手渡すことを大事にしている

私は結構物持ちがいい方なんです。高校生ぐらいに買ったネルシャツをまだ着ています。ものすごくやんちゃしない限り、洋服はそんなに簡単には破れないから、気がつけば10年着ていたっていう感じですね。

服は本当に好きなんだけど、クローゼットには限界もあるから、手放さなければならない服があったら、それを大切に着てくださる人に渡したい。だから、フリーマーケットを開催するようになったんです。

フリーマーケットをすることで、直接この服にまつわる思い出を伝えることができる。顔と顔の見えるコミュニケーションで、服を手渡すことを大事にしています。

靴磨きをするときは幸せすぎて仕方がない

中島のりゆき

洋服をこまめに洗濯をするとか、こまめにアイロンをかけたり、クリーニングに出したりすることだけでなく、よく着てあげることも大事かな。

ずっと着なくてタンスの中にしまわれたままだと劣化していくから、こまめに袖を通してあげることがお手入れのひとつかなと思いますね。

私は靴のお手入れも大好きなんです。靴の場合はこまめにお手入れしてあげることが大事。汚れを毎日落としてあげると靴の持ちが全然違うし、毎日履かずに休ませてあげることも意識しています。

靴を磨いているときはとってもマインドフルネスで、幸せすぎて仕方がない。靴は永遠に磨いていられますね。自分の靴だけじゃ足りないから、旦那さんの靴も磨くし、「誰か汚い靴持ってない?」って聞いてまわるくらい。

靴磨きに関しては結構プロの域に達してて、仕事になるんじゃないかなと思いますね(笑)。

中島のりゆき