首相となると、出身大学から名誉博士号を授与されることもある。
村山富市首相は明治大学から名誉博士をもらった。明治大学出身で最初に首相まで昇り詰め、しかも戦後政治の課題であった自衛隊合憲・違憲の神学論争を集結させた。これは名誉博士に足りる功績である。
だが、安倍首相に授与された話はない。成蹊大学から出た最初の宰相であり、しかも首相を2回、通算で3年を超えている。しかし、どう調べても授与された話はない。この点は怪訝である。
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これは、憲法問題への見識を問われたのではないか。
もちろん、安倍首相が憲法改正を主張することは問題ではない。その政策、信条として改正が必要であると述べ、そのために行動することについて、否定的に捉えるべきではない。
だが、立憲主義や天賦人権思想を軽視する点は、授与を難しくする要素だ。安倍首相は法の支配や、アメリカ独立宣言やフランス人権宣言を重視せず、配慮に欠けていた。その点、成蹊大学は法学部卒業としての見識として不十分であると見たのかもしれない。
言い方は悪いが、大学にも製造物責任がある。大学初の首相として顕彰したいがPL法的に問題がある。このため名誉博士号を授与したくとも出来なかった。そのようにも看取れる。
憲法改正を主張するのは問題ではないが、憲法への見識には問題がある。そう判断したのであれば、時勢に流されることなく、学問に対して妥協しない点で、大学としてなかなかのものである。