「志布志市志布志町志布志」
どのように読むか知っている人はいるだろうか。決して誤変換ではない。鹿児島県の東に位置する「しぶしししぶしちょうしぶし」という地域の名前だ。
変わった地名としてよく話題に上り、志布志市役所は「日本一言いづらい市役所」とメディアで取り上げられたこともある。
その志布志市役所(所在地:志布志市志布志町志布志2丁目1番1号)が、志布志市に住む市民にフォーカスしたシティプロモーションを始めた。
志布志市の担当者はハフポスト日本版の取材に、「『志』の字が多いことで話題に上がる志布志市だが、字面のインパクトだけではなく、市民がもつそれぞれの『志』にも注目してほしい」と話している。
志布志市とは?
志布志市港湾商工課によると、志布志市は年間を通して温暖な気候で、霧島山系由来の地下水がシラス台地を通して豊富に湧き出ている。
農畜産物の生産にとって最高の生育環境が整っており、養殖ウナギも名物の一つ。黒潮海流に面しているため、シラスやハモなど豊富な魚介類も水揚げされる。
多くの神社や寺院があり、4月には江戸時代から続く鹿児島三大祭の一つ「志布志お釈迦まつり」が開催される。
一方、志布志市は名前のインパクトが強いため、「どんな街で、どんな人が住み、どんな名物があるのか、ある意味伝わりにくかった」(志布志市担当者)という。
そこで今回、特設ウェブサイトを開設。有機栽培で海外にも販路を広げるお茶農家、ウミガメの保護活動を続ける会社員、子育て支援センターの有償ボランティアの市民3人を取材し、それぞれの「志」を掲載した。
例えば、⻄⼭繁美さんは会社員の傍ら、絶滅の危機に瀕しているウミガメの保護活動を続けている。産卵シーズンの5〜7月はできるだけ海岸を歩き、見つけた卵を素早く安全な場所に移している。
生まれた子ガメを海に返す時は、地元の子どもたちと一緒に放流しているといい、自然の厳しさや大切さも教えている。西山さんはインタビューの中で、志布志市に上陸するウミガメをなんとしてでも守らないといけないという「志」を語っている。
なお、この3人を取り上げたプロモーションは、3月31日まで東京メトロコンコースビジョン16駅22エリアで掲出されている。志布志お釈迦まつり(本祭)も4月29日に開催される予定だ。
志布志市港湾商工課の担当者は、「志布志市にはおいしい食や水、歴史がある。名前だけでなく、市民の『志』の高さも知ってもらい、ぜひ観光で訪れてほしい」と語った。