上海にあるディズニーリゾートが、現地の大学生に訴えられた事件が話題を呼んでいる。
飲食物の持ち込みを禁止するリゾート側の規則を無効だとするもので、現地の消費者協会も大学生の支持を表明するなど騒ぎが広がっている。
■オススメは“入園前に食べきる”
現地メディアによると、訴訟を起こしたのは、現地の大学で法律について学ぶ大学生。
2019年の初めごろ、上海のディズニーリゾートに入場しようとしたところ、荷物検査で飲食物を持っていたことが発覚。一日80元(約1300円)もするロッカーに預けるわけにもいかず、その場で捨てざるを得なくなったという。
そのためこの大学生は、捨てた飲食物にかかった費用の賠償や、「飲食物の持ち込み禁止」としたディズニー側の規則が無効であることの確認を求めている。
上海ディズニーリゾートの公式サイトには、確かに持ち込み禁止であることが記載されている。食品やお酒に加え、600ml以上の飲料も禁止対象だ。
規則では「食品と飲料は入園前に食べきることをお勧めします」とある。
人民日報によると、訴訟が提起された後も、入り口での荷物検査は実施されたままだという。
■中国で怒り広がる
これに“乗っかった”のが、消費者の権益保護のために設立された中国消費者協会だ。
協会は訴訟を起こした学生への支持を表明。持ち込み禁止の規定は、中国でも特段珍しくないとしつつも「上海ディズニーは園内の飲食物が比較的高額で、消費者から選択の自由を奪っている」などと支持の理由を説明した。
この騒動では、上海ディズニーの規定が中国人への「差別」ではないかと指摘されたことも拡大の要因となっている。
本場・アメリカのディズニーランド(ウォルト・ディズニー・ワールドリゾート)では原則的に、キャストに告げることで飲食物の持ち込みが許可されている。
日本では、運営会社のオリエンタルランドによると、お弁当などの持参した食べ物は持ち込みはできないが、あめやガム、小さな子供のおやつ、それに水筒やペットボトル飲料はOKと、中国より規制は緩い。
また、持ち込みNGのお弁当も、園外の「ピクニックエリア」で楽しむことができるため、園内での出費を抑えることもできる。
中国ではこうした現状を差別的に感じるネットユーザーもいるようで、「一体何を根拠に荷物を開けさせるんだ、プライバシーはないのか」「差別的だ」といった声も上がっている。
上海ディズニーはこの騒動に対し「飲食物の持ち込みに関する規定は、中国内の他のテーマパークや、アジアの他のディズニーリゾートと同じものだ」とコメントしているという。