就職した会社で「定年まで働きたい」と回答した新入社員は、4人に1人。
こんな調査結果が4月、公表された。
逆に「チャンスがあれば転職」と答えた人は10年前と比べて倍増し、長期の勤続志向は低下していることがうかがえる。
「理想の上司」を尋ねると、あのスーパースターが大差をつけてトップに輝いた。
「チャンスがあれば転職」は20%
東京商工会議所が4月3〜13日、この春の新入社員を対象にアンケート調査し、979人から回答があった。
調査結果によると、就職した会社で「定年まで働きたい」と回答した人は24.4%で、10年前の2013年度(39.1%)比で14.7ポイント減少した。
一方で、「チャンスがあれば転職」は20%に達し、13年度(11.5%)比で8.5ポイント増加した。
20%という数字は、この5年間で最も高い値で、若者の中で転職志向が高まっているとみられる。
規律性を重んじる企業。新入社員は……?
新入社員と企業の認識で差がみられたのは、「社会人基礎力」についてだった。
社会人基礎力とは、経産省が2006年に提唱した「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」。
「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力に分けられ、主体性や計画力、柔軟性など12の要素から構成されている。
今回、新入社員と企業(421社)に「仕事をする上で特に大事にしたいこと」を12の要素から最大3つまで選んでもらった。
その結果、チームで働く力の「規律性」を選んだ新入社員は6.4%しかいなかったが、企業側は33.7%と、大きな差があった。
この理由について、同会議所の担当者は「社員個人のSNS利用などにおいて企業側は規律をより求めていることが推察できる。実際に研修を開いて対応している企業も多い」と話した。
なお、新入社員で上位となった要素は、「主体性」(59.1%)や「実行力」(39.3%)だった。
理想の上司はスーパースター
新入社員が就職先を決める際に重視したこと(複数回答)については、「社風、職場の雰囲気」が60%で最も多かった。
「処遇面(賃金など)」が51.5%、「福利厚生」が41.6%、「働き方改革、ワーク・ライフ・バランス」が40.3%と続いた。
また、「理想だと思う上司」は、「指導が丁寧」(59.8%)、「意見や考えを真摯に聞く」(45.9%)、「人間関係、チームワークを重視」(32.7%)などが多かった。
この上で、「理想の上司」のイメージに近い有名人や著名人を選んでもらったところ、「スポーツ」ではメジャーリーガーの大谷翔平選手が234票と、2位のイチローさんに93票の差をつけてトップに輝いた。
「芸能・文化」のトップは、アナウンサーの水卜麻美さん(43票)、「歴史上の人物」は織田信長(120票)がトップだった。