大リーグ、サンフランシスコ・ジャイアンツのゲーブ・キャプラー監督は5月27日、銃規制に取り組もうとしない政府への抗議として、試合前の国家演奏でグラウンド上に出るのを拒否した。
アメリカでは24日に、テキサス州ユバルディのロブ小学校で銃乱射事件が発生し、19人の児童と2人の教師が犠牲になった。
キャプラー監督は、国歌演奏に参加しなかった理由について「私たちの国が良い方向に向かっていると感じられるまでは、国歌演奏中に出て行くつもりはない」と説明した。
「必ずしも、大きな変化を期待しているわけではありません。しかし一歩を踏み出すことが必要だと強く感じています」
信念を曲げるべきではなかった
2020年からジャイアンツを率いているキャプラー監督。国歌演奏拒否の理由を、27日に投稿したブログでも詳細につづっている。
ロブ小学校銃乱射事件が発生した後、様々なスポーツイベントで黙祷が捧げられた。
キャプラー監督は「選手やスタッフ、ファンは立ち上がって黙祷を捧げ、犠牲者を追悼しました。我々は(私自身も)起立を続けながら、この国が自由の地、勇敢さの故郷であることを誇らしげに讃えました。この恐ろしい事件の後、自分達が本当に自由で勇敢なのか考えず、ただ立ち続けていた」と振り返っている。
キャプラー監督は犠牲になった児童たちと同年齢の頃、父親から「国が人々のために行動している時には忠誠を示すために起立し、そうでない時には抗議して座っているように」と教えられたという。
その言葉を紹介して「今、国は私たちのために行動していないと思う」と述べた。
また、「事件翌日の試合の国歌演奏で、抗議のために片ひざをつこうと思ったができなかった」とも振り返っている。
キャプラー監督はそんな自分を「弱虫だと感じた」と後悔。「居心地の悪さから、自分の信念を曲げるべきではありませんでした。国に不満を感じた時には抗議して伝えよという父の教えを実行すればよかった」とつづっている。
抗議するスポーツ界
国歌演奏中の抗議で最も有名なのは、NFLのコリン・キャパニック選手だ。
キャパニック選手は2016年、人種の不平等と警察の暴力に抗議して、試合前の国歌演奏で起立を拒否。その後の試合では、片ひざをついて抗議を続けた。
その後、この片ひざをつく抗議はスポーツ界で広がり、2020年にアメリカでブラック・ライブズ・マター運動が高まった時にも、多くのアスリートが参加した。
キャプラー監督は2020年7月に、MLB監督として初めて片ひざをつく抗議に加わっている。
さらにスポーツ関係者やチームはロブ小学校銃乱射事件の後、銃規制を求める声を上げている。
NBAゴールデンステート・ウォリアーズのヘッドコーチ、スティーブ・カー氏は、事件が起きた直後の24日の試合前記者会見で、銃規制に取り組まない議員たちを厳しく批判。
「情けない、もう十分だ」と述べ、会見場を立ち去った。
また、ニューヨーク・ヤンキースとタンパベイ・レイズは26日、チームの公式Twitterに試合情報を投稿せず、代わりに銃暴力の情報を発信した。
ニューヨーク・ヤンキースのツイート「毎日、110人以上ののアメリカ人が銃で死亡し、200人以上が負傷しています」
タンパベイ・レイズのツイート「2020年のアメリカの子どもたちと10代の若者の主な死因は銃器によるものでした」
また、レイズは銃規制を求める団体「エブリタウン・フォー・ガン・セーフティー(Everytown for Gun Safety)」に5万ドル(約635万円)寄付すると発表した。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。