今までで最高のセックスは、バルセロナのナイトクラブのトイレでだった。スペイン人の友達たちと出かけていたが、女性2人だとトイレでのセックスもバレずにやりやすいことに気づいた。一緒に個室に入っても誰も不審に思わない。私たちは酔っぱらっていて、めまいがするほど恋に落ちていて、休暇旅行中だった。その夜は私の人生で最高の夜の1つだ。
26歳になるまで、私は酔っぱらってでさえ女性にキスしたことなどなかった。デートもセックスも、完全に男性のみを対象にしていた。5年たった今、私は3年間付き合った女性との関係を終え、たくさんの他の女性と寝た。私にとってこれは長いカミングアウトの過程ではなかった。私はある日、「女性とデートしてみてもいんじゃない?」と決めた。いわばスイッチがオンになったような感じだ。デートアプリの好みの設定を女性に変え、そこから始めた。
私はずっと女性に惹かれてきて、女性とのセックスも空想したけれど、実際に何かを実行しようとは思わずにいた。人はこれを聞くと、きっと私が自分の性的指向を隠していたんだろう思うだろうけど、私にはゲイの友達もたくさんいるし、家族も受容的だから、自分の気持ちを抑圧していると思ったことはなかった。もし女性と寝る機会が訪れたらそうすると常に言ってきたけれど、その機会が訪れなかっただけのことだ。
だから私は、デートアプリのフィルターを通して、積極的にその機会を創ることに決めた。初めてのデートの直前まで友達の誰にも知らせなかった。ゲイの友達にメッセージを送ったら、私が女性とデートするのだろうと当てられた。実際、多くの人に伝えれば伝えるほど、誰も驚きもしないように見えて、笑ってしまった。
私の「カミングアウト」は成功したけれど、最初のデートは悲惨だった。私はそこらじゅうに赤ワインをこぼしてしまったし、相手とはどうもしっくりこなかった。でもその後はよくなっていった。少しの間すごくカジュアルなセックスをしていた相手もいたし、それからブライトンの別の女の子とデートしたりしなかったりを繰り返した。当時住んでいたロンドンの家から、エッチな週末を過ごすために彼女を訪れたりした。
そして長期パートナーとなる、3年間付き合った女性と出会った。これは私が過去に男性と付き合った期間よりずっと長かったこの時点までの最長期間は大学時代の彼氏との6カ月だった(彼はラグビー部で、私はネットボールをやっていた。よくある関係だった)。
その関係は終わりを迎えたけれど、女性とデートすることに対する自分の考え方を確実に決定づけるものとなった。私はまだ肉体的には男性に惹かれるけれど、男性とのデートやセックスに戻る自分が想像できない。女性とのセックスは全く別世界だ。女性とのセックスでのほうが自分に自信を感じられ、解放感があり、より安全に感じられることさえある。男性とすばらしいセックスをしてこなかったというわけではない。でもこっちのほうがエロチックで、より親密感がある。ずいぶん荒々しいセックスですら、自分を気遣ってもらえている感覚を受ける。
女体のフォルムのほうが私にとって男性よりも美しく感じられる。男性だと私は好みのタイプが厳しく、超男性的なのが私が最も魅力的に感じるタイプだ。でも女性に関しては私は1つの好みのタイプというものはない。1人目はおてんばなブロンドだったし、2人目はグランジ風だったし、3人目(長年付き合った相手だ)はかなりフェミニンだった。今会っている女性はとても中性的な外見だ。1つのタイプを持たないのはいいことだ。
女性とセックスする前にはちょっと不安になる。男性との時には感じないかたちで、自分の体に自信が持てなくなる。ジムの更衣室で、週に数えきれないくらいのフィットネスクラスを受けているような、とてつもないボディを持った女性たちと一緒にいるときと同じ感覚だ。女性とセックスするときは、自分の体を相手と比べやすくなるものだけれど、相手の女性に否定的に言われたことはない。実際、褒めてくれることのほうが多い。そしてその最初のハードルを超えれば、セックスもよくなっていく。女性はどんな男性よりも、女性の体をよく知っているから。
そんなわけで、今私はしばらくの間女性とデートしようと思っている。男性と永遠に縁を切ろうというのではない。子供も欲しいし、短期間で成し遂げるには男性と付き合った方がてっとり早い。でも私は女性との関係のほうが幸せだ。セックスだけじゃない。女性となら、自分が関係性の中で対等なパートナーだと感じられ、寝室でも、キャリアでも対等でいられる。男性と付き合っていたときは、男性や男性のキャリアに重点を置かなくてはならなかった。
ヘテロセクシュアルの女友達の多くが私のセックスライフに興味を持つのが面白い。いい機会があれば女性とセックスしてみたいと思っている既婚の女性友達も何人かいる。彼女たちがこの世界を知らないことをかわいそうに思うこともあるけれど、彼女たちは愛する男性と一緒にいるのだ。私自身の人生に関して言えば、私が自分という人間を、そして自分の欲求やニーズ(肉体的・精神的の両方)を受け入れられる時点に達したと感じている。自分に値するもの以外、受け入れようと思わない。
セックス・ダイアリーは、ハフポストUK版に読者から無記名で寄せられたセックスに関するストーリー。ハフポストUK版に掲載されたものを、翻訳・編集しています。様々なセックスにまつわるストーリーを通じて、性にまつわる喜びや悩みをオープンに語り合おうという企画です。