2月3日は節分。「鬼は外、福は内」と、豆をまいて邪気を追い払い、福を呼び込む行事だ。
しかし、豆まきで用いられる煎り大豆は、子どもが窒息や誤嚥を起こすリスクがある。関係機関は「5歳以下の子どもに豆を食べさせないように」と呼びかけている。
過去には死亡事故も発生
消費者庁と国民生活センターには、豆やナッツ類を食べた子どもが窒息や誤嚥を起こした事故報告が医療機関から寄せられている。
「乾燥豆を3個食べた時にせき込み、5分後にかみ砕いた豆とともに血を吐き出した。病院で誤嚥の疑いと診断された」(2歳)
「兄弟が食べていた枝豆を欲しがり、5~6粒食べたところ、激しくせき込み始め。救急受診でCT撮影したところ、左気管支に異物があった。全身麻酔で枝豆1/2粒を除去。約1週間入院した」(1歳)
「ピーナッツ味噌を4~5粒食べた後、むせこんでゼイゼイし始めた。緊急で気管支鏡による処置を行い、5日間入院した」(4歳)
「子どもがアーモンドを食べながら歩き、もっと欲しがって泣いたところ、むせて咳き込んだ。その後もゼイゼイしていたため受診したところ、右気管支に異物が認められ、6日間入院した」(2歳)
このほか、2020年には死亡事故も発生している。
島根県松江市の認定こども園で、節分の行事に参加した園児(4)が豆をのどに詰まらせて窒息死した。
日本小児科学会によると、2014〜19年までの6年間で食品による子ども(14歳以下)の窒息死は80件あったが、そのうち9割(73件)は5歳以下だったという。
気をつけるべき4つのポイント
消費者庁によると、奥歯が生えそろわず、噛み砕く力や飲み込む力が十分ではない子どもは、硬くて噛み砕く必要のある豆やナッツ類などをのどに詰まらせる恐れがある。また、小さなかけらが気管に入り込むと、肺炎や気管支炎を起こすリスクもある。
窒息や誤嚥は豆やナッツ類以外でも起こりうる。例えば、海苔など飲み込みづらいものは注意が必要だ。
日本小児科学会の「窒息につながりやすい食品」を見てみると、「丸いもの・つるっとしたもの」であるブドウ、ソーセージ、あめ、「唾液を吸収して飲み込みづらいもの」であるパン類、せんべい、「固く噛み切りにくいもの」であるリンゴ、生のにんじん、水菜などが挙げられている。
物を口に入れたまま走ったり、泣いたりしても窒息・誤嚥を起こす可能性がある。
消費者庁は以下のように注意を呼びかけている。
①豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせない
②節分の豆まきは包装されたものを使用するなど工夫して行い、5歳以下の子どもが拾って口に入れないように後片付けを徹底する
③兄姉が豆やナッツ類を食べているのを見た下の子が欲しがっても与えない
④食事は姿勢をよく食べることに集中させる。泣いている時に食べ物を与えない
万が一のどに詰まった場合は、「背部叩打法」などの応急処置を速やかに行わなければならない。幼児の場合は、①子どもの後ろから片手を脇の下に入れる②胸と下あご部分を支えて突き出し、あごをそらせる③片手の付け根で両側の肩甲骨の間を強く迅速に叩くーーという手順で行う。
そのほかの応急処置は、こども家庭庁の【もしもの時の「応急手当方法」】で確認することができる。