テレビから、スマホやPCで見るネットへ。芸能人の活躍の場は、大きく変わり始めている。
ダウンタウンの浜田雅功さん、ナインティナインの矢部浩之さんも、ネット番組に"本格進出"。11月9日、2人が出演するネット番組『戦闘車』シーズン2がAmazon Prime Videoで配信された。
番組は自動車をぶつけ合うゲーム。激しいアクション、多額の制作費などから「地上波ではできない」が売りのシリーズだ。
「時代はどんどんネットの方にいってしまう。ホンマにテレビ局、潰れますよ」と浜田さん。
「お茶の間の顔」として、日本に笑いと元気を届けてきた浜田さんと矢部さんは、自らの「ネット進出」をどう感じているのか? ハフポスト日本版の独占インタビューに答えた。
◇
ーー『戦闘車』で、テレビでできないことをできた、という思いはありますか?
浜田:シーズン1もやっていますけど、僕はその時から思ってました。矢部にとっては今回が初めてのネット番組でしたから、より強く感じているんじゃないですかねぇ。
矢部:いや、本当そうですよね。もうできないことだらけでしたよね、地上波では。
浜田:昔やったらね、できたよね。
矢部:そうですね。昔やったらできてたし、まだ僕はやってたほうなんですよ。時代的には。
ーー参加者の千原せいじさんは、「昨今の地上波テレビではできなくて、溜まっていたストレス発散になった」と振り返っていました。
矢部:達成感というか、やり切った感はありましたね。
あとは、地上波だったとしたら、もう少し浜田さんとの絡み方が変わっていたかもしれないです。
今回は、もっと自由さがありましたよね。例えば、浜田さんを「ゴリラ」って呼んだり、イジったり、ツッコめたりですね。(笑)
テレビ番組のような「笑いを組み立てる」見せ方ではなくて、「大人が本気を出して遊ぶ」姿を見せる感じでした。そういう空気感があったので、浜田さんに「甘えられた」という気がしています。
ーー関係性も変わってくるところがあるんですね。
矢部:そうですね。もし岡村さんとコンビで出てたら、なおさらまた違うでしょうし。
岡村さんは異常にビビるんですよ、ダウンタウンさんと(明石家)さんまさんには。あれは何なんでしょうねぇ。(笑)
ーーこれからネット番組の影響で、お笑い界やバラエティーは変わっていくと思いますか?
浜田:いやぁ。テレビがヤバくなっていくんじゃないですか?こっち(ネット)の方で面白いことができるってなると、ねぇ。
どんどん「テレビ離れ」みたいなことが起きていくんじゃないかというか...どうなんですかねぇ。(笑)
矢部:大御所の方もやりだすとね。
浜田:テレビ局、潰れるんちゃいますか?(笑)極論はね。
今の若い子たちは、家に帰ってテレビを見よう、という感じでもないですよね。時代はどんどんネットの方にいってしまっているので。
ーーネット番組は、ある意味ではテレビ業界にとっては「ライバル」とも言えます。明石家さんまさんは、以前インタビューでネット番組に進出する葛藤を打ち明けていました。お2人はその葛藤はお持ちですか?
浜田:正直に言って、それはもうしかたないと思いますね。葛藤は...ないですねぇ。(笑)
さんまさんは我々よりもっと上の年代ですから、テレビに貢献しつづけた年数が違いますよね。だからこそ、余計にそう思われるんやと思います。
矢部:僕は小さい頃からテレビに憧れて育ってきて、テレビに出る仕事を続けてお金をもらってきたので、正直に言って今のこの状況が不思議ではあります。
それこそ、自分がネットの番組に出るとは考えもしなかったですよね。
舞台ももちろんありますけど、芸人で成功すると言えば、テレビに出る。それが「当たり前」の時代を生きてきたので...。
ネットという「新しい仕事場」ができたことに対しては、正直僕はまだ付いていけてないというか、普通ではない、という気持ちです。
ーー浜田さんは今回、体を張って競技にも参加しています。後輩や若手芸人さんの立場からすると、大先輩の浜田さんに立ち向かうことに「やりづらさ」は感じますか?
矢部:確かに浜田さんをケガさしたらあかんし、葛藤はあるんですよ。でも、浜田さんに何かするっていうのが、一番面白い。お笑いの人間は、そこが迷いどころやと思います。
浜田:僕のチームのメンバーは、全然そんなこと思ってなかったですよ。それこそ(千原)せいじなんて頭おかしいですから!「アンタやりなはれ、アンタやりなはれ」って。「いや、なんで俺がやらなあかんねん」って(笑)。
ーー後輩や若手芸人さんに対して「もっとグイグイきてほしい」という思いは、他の現場でも持っていますか?
浜田:そうじゃないと、多分面白くないでしょう?
後輩には言うんですけど、なかなかね。矢部もそこを普通にやってくれるし、グイグイくるんですけどね。若手はもっとやってくれてもいいと思うんですけどね。
ただ、そん時はノリでやれたとしても、終わってから「マジでキレられるんちゃうか?」って思ってるんちゃいますか。でも、本番のノリでやった以上、それで何か言うことはないですから。
ーー寂しい気持ちもあるんでしょうか。
浜田:先輩になるにつれて、どうしてもそういう気遣いされるんで。そこはちょっとね。
矢部:寂しいゴリラの後ろ姿は、かなり切ないものがありますからね。(笑)
浜田:本当に嫌な時は、嫌な顔しますから。「マジやで」っていう。
ーーそれが怖いんじゃないですか。(笑)
浜田:でも、関係ないですから。それこそせいじとかは。(笑)それがあの子の持ち味ですから、いいんですよ。
ーー相方の松本人志さんも、『ドキュメンタル』などで、ネットで新しいお笑いを届けることに挑戦していると思います。ご覧になっていますか?
浜田:(小声で)いいえ。でも、テレビのスポットCMでは見てますよ。(笑)
矢部:めっちゃわかりますそれ。僕もラジオの「オールナイトニッポン」を辞めたんですけど、(岡村さんが1人で続けている番組を)それから1回も聞いたことないですから。(笑)
浜田:わかるでえ〜。相方は好きなことやってれば、それでええと思ってますから。
矢部:1人1人の時は別の人間やから。そんで一緒になったらコンビの仕事します、っていう。
ーー松本さんもネットで、今できるお笑いの限界に挑戦されているので、「1人の時は別」と言いつつも、足並みが揃ってるな、と思いました。
浜田:それはそれは。ありがとうございます。(笑)でも、意識はしてないんですよ。お互いがやりたいこと、好きなことをやってるってだけの話です。
矢部:そういう距離感が一番やりやすいし、しっくりくるから、そういうスタイルを取ってるのかなって思いますけどね。
番組情報:『戦闘車』シーズン2
11月9日よりAmazon Prime Videoで独占配信中。