アメリカ議会上院は8月7日、同国最大の気候危機対策を含む「インフレ抑制法案」を可決した。
同法案には、気候変動対策のほか、医療や税制改革が含まれている。
民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、「インフレを抑制し、物価を下げ、何百万もの高賃金の雇用を生み、アメリカの歴史上最も大胆な気候対策の包括法案だ」と述べている。
アメリカ上院は、民主党議員と共和党議員がそれぞれ50人と同数を占めている。
法案は民主党議員50人が賛成、残り50人の共和党議員が反対したが、最終的にカマラ・ハリス副大統領が賛成し、51-50で可決された。
今後、民主党が多数を占める下院で8月12日に可決された後、バイデン大統領が署名すると見られている。
法人税を上げて、気候変動対策や医療費削減に
インフレ抑制法案では、4300億ドル(約58兆1575億円)が気候変動対策や健康保険補助、赤字削減などに使われる。
このうち3600億ドル(約48兆6900億円)以上が、再生可能エネルギーのインフラ促進や、電気自動車の税額控除など、気候変動対策に割かれる。
これはアメリカ史上最大の気候投資だ。加えて、法案は2030年までに二酸化炭素排出量を40%削減するとしている。
また、医療改革では65才以上と障がい者のための医療保険「メディケア」で、一部の高価な処方箋の値段が交渉できるようになり、薬価引き下げが可能になる。
さらに、年間利益10億ドル(約1352億円)以上の企業に対して、最低15%の法人税導入も決定。
これに加え、国税庁の税徴収権限強化や、薬剤費の削減などで、 今後10年で7000億ドル(約94兆6750億円)の税収増を見込んでいる。
完璧ではないが前進
民主党やバイデン大統領は当初、子育て控除など、より広範囲の社会保障を含む法案の可決を目指していた。
しかしジョー・マンチン議員など、一部の民主党議員と内容面で合意できず、最終的に大幅に縮小された。
バイデン大統領は7月、ホワイトハウスで「この法案は完璧から程遠く、妥協だ。しかし大抵の場合、物事はこうして前進する」と述べ、アメリカ市民のための法案を可決するよう、議会に求めていた。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆・編集しました。