ニュージーランドのワイカト大学研究員で海洋生物学者のフィル・ロスさんの自宅に8月17日、予期せぬ客が訪れた。この来客、可愛らしい外見をしていたものの、飼い猫をすっかり怖がらせたようだ。
ガーディアンによると、妻のジェン・ロスさんはこの日の朝6時頃、ジムに行くために家を出た。車に乗り込む時、何かの鳴き声や動くような音を耳にしたものの、隣家の犬だろうと思ったという。
ジェンさんが自宅に戻ったのは、1時間後の7時。自宅に入ると、なんと家の中に小さなニュージーランドオットセイがいた。
フィルさんは「(オットセイは)少し怯えたようで、廊下を通って部屋に入っていきました」とガーディアンに話している。
部屋のソファに乗ったり、机によじのぼろうとしたりしていたというオットセイ。
ジェンさんは、そんなオットセイを何とか玄関から庭へと出し、その後野生動物保護局のレンジャーを呼び海に戻してもらった。
2階で寝ていた10歳と12歳の子どもたちも、ジェンさんに起こされてオットセイと対面できたが、残念ながらフィルさんだけが不在だった。「これはおそらく、海洋生物学者が唯一役立つであろう自宅での緊急事態だったのに」とコメントしている。
その一方で、この一件で心に傷を負ったのが一家の飼い猫、ココだ。フィルさんは、オットセイは最初に家の外でココと遭遇し、その後猫を追ってペット用入り口から自宅に入ったのではないかと考えている。
フィルさんは「猫は、自分のテリトリーを守ろうとして向かっていったのでしょう。しかし、オットセイの方は犬のようには怖がらなかった。それで、ココは猫用入り口から家の中に逃げ込み、オットセイが追いかけてきたのだと思います」とガーディアンに説明する。
かなり怖い経験だったようで、近所の家で隠れていたというココ。自宅に戻った後も、その日は1階には降りてこず「明らかにトラウマになった」ようだったという。
フィルさんの自宅は海岸から150メートルほど離れたところにあり、この時期に近所でオットセイを見かけるのは珍しくないという。しかしオットセイが自宅に入ってくるのは初めてだった。
フィルさんは、これは独り立ちしたばかりの若いアシカで、嵐を避けるために陸に上がっていたのではないか、とニュージーランドヘラルドに話している。
「この時期、ビーチや道路など、普段はいない場所でオットセイを見かけることがあります」「十分に距離を取り、犬を近づけないようにしてください」